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川勝真一のキュレーションで、日本建築学会が主催する建築展「繕いの営み / 営みの繕い」。補修や手入れ等の“つくろい”に建築的意味を見出す展示。アリソン理恵・伊藤孝仁・GROUP・木村俊介・辻琢磨・山本周+小林栄範・渡邉竜一が出展
川勝真一のキュレーションで、日本建築学会が主催する建築展「繕いの営み / 営みの繕い」。補修や手入れ等の“つくろい”に建築的意味を見出す展示。アリソン理恵・伊藤孝仁・GROUP・木村俊介・辻琢磨・山本周+小林栄範・渡邉竜一が出展 photo©Yamane Kaori
川勝真一のキュレーションで、日本建築学会が主催する建築展「繕いの営み / 営みの繕い」。補修や手入れ等の“つくろい”に建築的意味を見出す展示。アリソン理恵・伊藤孝仁・GROUP・木村俊介・辻琢磨・山本周+小林栄範・渡邉竜一が出展 photo©Yamane Kaori
川勝真一のキュレーションで、日本建築学会が主催する建築展「繕いの営み / 営みの繕い」。補修や手入れ等の“つくろい”に建築的意味を見出す展示。アリソン理恵・伊藤孝仁・GROUP・木村俊介・辻琢磨・山本周+小林栄範・渡邉竜一が出展 photo©Yamane Kaori

川勝真一のキュレーションで、日本建築学会が主催する建築展「繕いの営み / 営みの繕い」です。
補修や手入れ等の“つくろい”に建築的意味を見出す展示です。出展建築家は、アリソン理恵(ARA)伊藤孝仁(AMP/PAM)GROUP木村俊介(SSK)辻琢磨(辻琢磨建築設計事務所)山本周+小林栄範、渡邉竜一(ネイ&パートナーズジャパン)です。会期は2023年10月5日~10月15日。入場料は無料です。展覧会の公式ページはこちら。また、2023年10月15日(日)に出展者が参加するギャラリートークも企画されています(詳細は記事末尾に記載)。

「つくること」、「つかうこと」、そして両者を架橋する「つくろうこと」。
本展覧会が目を向けるのは、維持というあいまいな概念として放棄され、長らく建築の問題として顧みられてこなかった補修や手入れ、掃除などの小さな、しかしエッセンシャルな繕いの営みです。
この終末への時間を引き伸ばす、変わらなさや緩やかな変化に対して、私たちはどのような想像力を向けることができるでしょうか。また、営みという出来事を建築的に思考し、設計するための記述や記録の可能性を探ります。

リリーステキストより

川勝真一によるキュレーターノート

世界には伝統的でローカルなものから、現代的テクノロジーを用いたものまで、さまざまな「繕い」と呼べる取り組みや実践が存在しています。本展はこれからの都市や建築を考える上で不可欠でありながら、デザインとは無関係だとみなされ、維持というあいまいな概念として放棄されてきた「繕いの営み」に目を向けます。それは日々の清掃からちょっとした修繕など、見た目にはほとんだ変化を伴わない空間の持続のために不可欠な行為から、設計/施工/運用が渾然一体となった時間軸の中で展開する営為です。

繕いの営みの代表的なものの一つに、茅葺き屋根の葺き替えを村人総出で行う「結」があります。数年のサイクルで行われる民家の繕いは、建築だけでなく集落コミュニティそのものの結びつきを補強し、萱を育てるための領域が小動物の生息にとって欠かせないものとなり、里山の生態系のバランスを維持してきました。繕いという営みには、その内側にその営みを繕うための仕組みが内包されています。

また、こうした繕いの行為は、終末への時間を引き伸ばし、変わらなさや緩やかな変化に対する私たちの感性に働きかけ、建築を固定化したものではなく、変化を続ける出来事として捉えることでもあります。建築が変わりゆくものである存在であることは、すでにこの数十年に渡って建築家の主要な関心ごとでもありました。しかし都市環境の変化や人々の暮らしに合わせて可変するシステムや、マスタープランを持たない場当たり的な設計論の前提はモノとしての建築であり、そのためのプロセスが思考されていたと言えるかもしれません。それに対して本展に参加する建築家の多くは、建築を動きや出来事、プロセスそのものとして位置付けます。それは空間性や形式性の軽視ではなく、むしろ空間や場所の物理的、社会的豊かさを求めた結果、生まれてきた建築の営みなのです。

人類の活動が地球環境に不可逆的な変化を与え、伝統的な住環境や暮らしの知恵がすでに持続可能な閾値を超えつつある現在、本展覧会が、ケアや再生成などの概念とも関わり合いながら、「繕いの営み」とそれを成り立たせる「営みの繕い」について一人ひとりが考え、実践へと向かう一助となれば幸いです。

リリーステキストより
パナソニックが運営する、東京・新橋の“BRIDGEHEAD Shimbashi”で、ポップアップギャラリー「ロングセラー、ロングライフの原点」が開催。数十年使い続けられてきたプロダクトを多数紹介。村野藤吾たちに使われたドアハンドルの製作秘話を聞けるトークも企画
パナソニックが運営する、東京・新橋の“BRIDGEHEAD Shimbashi”で、ポップアップギャラリー「ロングセラー、ロングライフの原点」が開催。数十年使い続けられてきたプロダクトを多数紹介。村野藤吾たちに使われたドアハンドルの製作秘話を聞けるトークも企画展示会のイメージ image courtesy of BRIDGEHEAD Shimbashi

パナソニックが運営する、東京・新橋のライブオフィス“BRIDGEHEAD Shimbashi”で、ポップアップギャラリー「ロングセラー、ロングライフの原点」が開催されます。
数十年使い続けられてきたプロダクトを多数紹介します。また、村野藤吾、吉田五十八、谷口吉郎、大谷幸夫に使われたドアハンドルの製作秘話を聞けるトークも企画されています。開催期間は、2023年10月18日(水)~20日(金)。参加費無料です。事前申込でのツアー形式の観覧とのこと(会場の詳細な住所は申込後に案内されます)。【ap・ad】

ロングセラー、ロングライフの原点

ライブオフィス「BRIDGEHEAD Shimbashi」で、不定期に開催されるギャラリー展示の第一回。
長く使われているプロダクトの製造当時の広告などを垂れ幕展示で紹介し、創造の原点と系譜を辿る展示会。
年月とともに作り手と使い手の間で、プロダクトや建築はどう変わっていくのか、そして、その先の未来へ向けて。

リリーステキストより

パナソニック
1918年の創業から、現在も販売中の「アタッチメントプラグ」や「二股ソケット」(現行モデルは現在も万単位で出荷中)から見る商品の進化とその他ロングセラー商品群に学ぶ普遍的な価値について。

ケイミュー
ロングセラー屋根材COLORBEST(カラーベスト)「コロニアル」が、発売から60年以上経っても使われ続けている理由について。

ユニオン
「ARTWARE in history」数々の名品を生み出してきたユニオンのアートウェア。歴史的建築作品に採用されたドアハンドルの名品から、建築家達の意思と個性とそれらを具現化させていった巧の技術を現在に伝える。

井上スダレ
伝統的工芸品「大阪金剛簾」を守り育てながら、70年を超えるロングセラーの米国リッチライトと正規日本代理店契約を結び、スケートボード・BMXパークの可動セクションの製造もおこなう。製造当時の写真と商品展示。

トランジスタ
不動産のロングライフ商品であるヴィンテージマンションを購入する場合の住宅ローンの組み方、購入前やリフォーム時の注意点について解説します。

建築家&BRIDGEHEADのリノベ―ション作品展示
銭湯や倉庫をオフィスや店舗にコンバージョンした事例など、建築で生まれ変わる建物の事例紹介

・小山 光(株式会社キー・オペレーション) コンビニ→シェアハウス
・後藤 周平(後藤周平建築設計事務所) 歯科医院兼用住宅→事務所兼用住宅
・中島 裕子(株式会社FUGA) 倉庫→シェアオフィス
・古屋 英紀(古屋建築設計事務所) 倉庫→スタジオ(部分改修)
・BRIDGEHEAD 銭湯→ショールーム付きオフィス

リリーステキストより

以下に、ポップアップギャラリーと関連イベントの詳細を掲載します。

青木淳と西澤徹夫による「京都市京セラ美術館」に宿泊できるイベントが開催。中央ホールにキャンプ形式で泊まり、夜の美術館ツアーも付属
青木淳と西澤徹夫による「京都市京セラ美術館」に宿泊できるイベントが開催。中央ホールにキャンプ形式で泊まり、夜の美術館ツアーも付属外観 photo©architecturephoto

青木淳西澤徹夫による「京都市京セラ美術館」に宿泊できるイベントが開催されます。中央ホールにキャンプ形式で泊まり、夜の美術館ツアーも付属してるようです。2023年10月9日まで抽選申込を受付中。本建築は、青木淳・西澤徹夫設計共同体が基本設計と監修を手掛け、松村組・昭和設計が実施設計を手掛けました。

秋の夜長に、一夜限りの美術館を楽しむプレミアムなお泊まり体験です。

以下に、会場となる中央ホールの写真も掲載します。

伊東豊雄の、芝浦工業大学での展覧会「伊東豊雄の挑戦1971-1986」。世界的に評価される建築家の活動初期の作品に注目した展示。“全エネルギーを注いだ”と言う図面やスケッチを中心に紹介。当時の製本青焼図面を閲覧できるスペースも用意
伊東豊雄の、芝浦工業大学での展覧会「伊東豊雄の挑戦1971-1986」。世界的に評価される建築家の活動初期の作品に注目した展示。“全エネルギーを注いだ”と言う図面やスケッチを中心に紹介。当時の製本青焼図面を閲覧できるスペースも用意 photo©architecturephoto
伊東豊雄の、芝浦工業大学での展覧会「伊東豊雄の挑戦1971-1986」。世界的に評価される建築家の活動初期の作品に注目した展示。“全エネルギーを注いだ”と言う図面やスケッチを中心に紹介。当時の製本青焼図面を閲覧できるスペースも用意 photo©architecturephoto
伊東豊雄の、芝浦工業大学での展覧会「伊東豊雄の挑戦1971-1986」。世界的に評価される建築家の活動初期の作品に注目した展示。“全エネルギーを注いだ”と言う図面やスケッチを中心に紹介。当時の製本青焼図面を閲覧できるスペースも用意 photo©architecturephoto
伊東豊雄の、芝浦工業大学での展覧会「伊東豊雄の挑戦1971-1986」。世界的に評価される建築家の活動初期の作品に注目した展示。“全エネルギーを注いだ”と言う図面やスケッチを中心に紹介。当時の製本青焼図面を閲覧できるスペースも用意 photo©architecturephoto

伊東豊雄の、芝浦工業大学での展覧会「伊東豊雄の挑戦1971-1986」です。
世界的に評価される建築家の活動初期の作品に注目した展示です。伊東が“全エネルギーを注いだ”と言う図面やスケッチを中心に紹介しています。また、当時の製本青焼図面を閲覧できるスペースも用意されています。会期は2023年9月28日~10月29日。入場料は無料です。展覧会の公式ページはこちら

芝浦工業大学(東京都江東区/学長 山田純)建築学部は、世界的な建築家である伊東豊雄氏の初期の作品を展示する「伊東豊雄の挑戦1971-1986」を豊洲キャンパスで開催します。

伊東氏が30歳で事務所を開設された時期の作品、「中野本町の家」や「東京遊牧少女の包」の一次資料(アトリエで制作した設計図面やスケッチ)を中心に展示します。

その時代の多くのスケッチや図面・模型等は今後カナダのCCA(Canadian Centre for Architecture)に寄贈されることになっており、寄贈の前に日本で観られる貴重な機会となります。

※CCA:モントリオールを拠点とする世界でも有数の建築ミュージアム及びリサーチセンター

リリーステキストより

伊東豊雄のコメント

私は1971年に30歳で独立し、小さなアトリエを設立しました。

1970年の大阪万博を境に、70年代の日本社会は60年代の経済成長から一転、右肩下がりの内向的な時代を迎えました。
そんな70年代に設計を始めた私は、スタッフ2~3名と小さな住宅の設計に向き合うほか仕事はなく、外に飲みに行く金銭的余裕すらない苦難の時代を過ごしていました。

当時トレーシングペーパーに手で描いたスケッチや図面には、私の全エネルギーを注いだ建築への情熱が込められています。
このたび私はその時代のスケッチや図面・模型等のほとんどすべてをカナダのCCA(Canadian Centre for Architecture)に寄贈することにしました。CCAはモントリオールを拠点とする世界でも有数の建築ミュージアム及びリサーチセンターです。

今回芝浦工業大学の御厚意により、これらの図面等をCCAに送る前に同大学で展示させていただくことになりました。
この機会に皆様にぜひ御覧頂きたく御案内申し上げる次第です。

リリーステキストより
五十嵐敏恭と佐藤研吾による建築展「グルグル広がって上がっていく」の会場写真。建築と生き方の“表裏一体”を体現する二人の建築家の展覧会。対話の中で見い出された“言葉”をキーに“思考モデル”とも言える作品を制作して展示。畝森泰行と金野千恵の事務所“BASE”を会場に開催
五十嵐敏恭と佐藤研吾による建築展「グルグル広がって上がっていく」の会場写真。建築と生き方の“表裏一体”を体現する二人の建築家の展覧会。対話の中で見い出された“言葉”をキーに“思考モデル”とも言える作品を制作して展示。畝森泰行と金野千恵の事務所“BASE”を会場に開催 photo©Tomoyuki Kusunose
五十嵐敏恭と佐藤研吾による建築展「グルグル広がって上がっていく」の会場写真。建築と生き方の“表裏一体”を体現する二人の建築家の展覧会。対話の中で見い出された“言葉”をキーに“思考モデル”とも言える作品を制作して展示。畝森泰行と金野千恵の事務所“BASE”を会場に開催 photo©Tomoyuki Kusunose
五十嵐敏恭と佐藤研吾による建築展「グルグル広がって上がっていく」の会場写真。建築と生き方の“表裏一体”を体現する二人の建築家の展覧会。対話の中で見い出された“言葉”をキーに“思考モデル”とも言える作品を制作して展示。畝森泰行と金野千恵の事務所“BASE”を会場に開催 photo©Tomoyuki Kusunose
五十嵐敏恭と佐藤研吾による建築展「グルグル広がって上がっていく」の会場写真。建築と生き方の“表裏一体”を体現する二人の建築家の展覧会。対話の中で見い出された“言葉”をキーに“思考モデル”とも言える作品を制作して展示。畝森泰行と金野千恵の事務所“BASE”を会場に開催 photo©Tomoyuki Kusunose

五十嵐敏恭佐藤研吾による建築展「グルグル広がって上がっていく」の会場写真です。
建築と生き方の“表裏一体”を体現する二人の建築家の展覧会です。対話の中で見い出された“言葉”をキーに“思考モデル”とも言える作品を制作して展示しています。本展は、畝森泰行と金野千恵の事務所でもある東京台東区の“BASE”を会場に開催されます。会期は、2023年10月1日まで。展覧会の公式ページはこちらです。また、2023年9月23日・30日・10月1日に現地やオンラインで行われる関連イベントも企画されています(詳細は末尾に掲載)。

2組の建築家 五十嵐敏恭-Studio Cochi Architects と 佐藤研吾-Korogaro Association による展覧会「グルグル広がって上がっていく」を開催する運びとなりました。
2組の建築家がそれぞれの拠点作りの構想を機軸に対話し、共有し得るいくつかの言葉を見つけ、新たな建築やモノのかたちの試行錯誤を展示します。言葉による対話、作ったモノによる対話、あるいは両者をつなげる構想自体が並置されることによって、これからの建築、生きていく世界を思考していきます。

リリーステキストより

五十嵐敏恭によるステートメント

グルグル広げた対話の中から、お互いのモノづくりと今後の活動につながるかもしれない言葉たちを拾い、その言葉たちを共通のキーワードとしてお互い新しくモノを制作することを試みた。キーワードはお互いに共有できる言葉だが、ひとりでは発見できなかった言葉でもある。自分たちが立っているところから、お互いに少しだけ離れたところからの視点を織り交ぜることで生まれたモノを、対話の成果物として展示したいと思う。

リリーステキストより

佐藤研吾によるステートメント

両者の異なる思考モデルが提示されることは、興行上とても有効だとは思うが、展示している当事者からすれば「おい、お前はどう生きるんだ」というヒリヒリと迫ってくる大きな問いに焦燥する最中でもあるので気が気でない。だがしかし、フラフラが次第にグルグルと、移動と行動の残像がボンヤリとした軌跡として見えてくるようになれば、自分はもう少し上に行ける気がするのだ。なのでひとまずは建築をつづけていこうと思う。

リリーステキストより
中村竜治建築設計事務所の会場構成による、21_21 DESIGN SIGHTでの展覧会「Material, or 」。マテリアルについての再考を促す展示。“素の状態”で物や作品に向合う状況を目指し、出来る限り“展示っぽさ”を排除する設計を志向。既存平面を“半ば無視した”壁を配して施設を廃墟の様な無意味な場所に戻す
中村竜治建築設計事務所の会場構成による、21_21 DESIGN SIGHTでの展覧会「Material, or 」。マテリアルについての再考を促す展示。“素の状態”で物や作品に向合う状況を目指し、出来る限り“展示っぽさ”を排除する設計を志向。既存平面を“半ば無視した”壁を配して施設を廃墟の様な無意味な場所に戻す地下1階、サンクンコートを見る。 photo©中村竜治
中村竜治建築設計事務所の会場構成による、21_21 DESIGN SIGHTでの展覧会「Material, or 」。マテリアルについての再考を促す展示。“素の状態”で物や作品に向合う状況を目指し、出来る限り“展示っぽさ”を排除する設計を志向。既存平面を“半ば無視した”壁を配して施設を廃墟の様な無意味な場所に戻す地下1階、ギャラリー2 photo©中村竜治
中村竜治建築設計事務所の会場構成による、21_21 DESIGN SIGHTでの展覧会「Material, or 」。マテリアルについての再考を促す展示。“素の状態”で物や作品に向合う状況を目指し、出来る限り“展示っぽさ”を排除する設計を志向。既存平面を“半ば無視した”壁を配して施設を廃墟の様な無意味な場所に戻す地下1階、ギャラリー2 photo©中村竜治

中村竜治建築設計事務所の会場構成による、21_21 DESIGN SIGHTでの展覧会「Material, or 」です。
マテリアルについての再考を促す展示の為に計画されました。建築家は、“素の状態”で物や作品に向合う状況を目指し、出来る限り“展示っぽさ”を排除する設計を志向しました。そして、既存平面を“半ば無視した”壁を配して施設を廃墟の様な無意味な場所に戻す事も意図されました。展覧会の公式ページはこちら

21_21 DESIGN SIGHTの企画展「Material, or 」の会場構成です。

本展では「マテリアル」と「素材」という言葉をあえて使い分けています。「マテリアル」が物質そのものだとすると、「素材」はそれを使おうとする者の意味が付与されたものです。そして、マテリアルが素材化される以前に焦点を当てることで、マテリアルについて改めて考えるという展覧会です。人や動物のマテリアルに対する向き合い方、意味付け、衝動に出会うことができます。

建築家によるテキストより

会場構成では、物や作品にできるだけ素の状態で向き合ってもらうために、展示っぽさというものを極力なくしていくということをやっています。例えば、「展示台やケースをつくらない」、「むやみに壁に展示しない」、「順路をつくらない」、「部屋単位で展示しない」などです。それらは、物や作品を観せられるのではなく、あたかも鑑賞者が散策しながらたまたま物や作品に出会うというような体験を生みます。

建築家によるテキストより

そして、会場である安藤忠雄さんの設計した21_21 DESIGN SIGHTからも馴染みのある展示施設としての意味を剥ぎ取り、洞窟や廃墟のような無意味な場所に戻すことを試みています。
具体的には、展示室だけでなくロビーや廊下を含めた空間全体に、高さ1.2mの壁を元々のプランを半ば無視しながらグリッド状に立てています。グリッド状の壁に切り取られた空間は、普段の使い勝手から切り離され、純粋な形として浮かび上がり、意味付けされる前のマテリアルに還元されるのではないかと考えました。

建築家によるテキストより
SDレビュー2023の入選作品の展覧会レポート(後編)。“実施を前提とした設計中ないしは施工中のもの”という条件での建築コンペで、若手建築家の登竜門としても知られる
SDレビュー2023の入選作品の展覧会レポート(後編)。“実施を前提とした設計中ないしは施工中のもの”という条件での建築コンペで、若手建築家の登竜門としても知られる手前:「Re SHIMIZU-URA PROJECT|集落を継ぎ接ぐ暮らしの提案」いとうともひさ+山下大地+川崎光克+両川厚輝+小串賢司マルセロ、奥:「巣材の家」山田宮土理+中村航+森下啓太朗+熊田英梨嘉 photo©architecturephoto
SDレビュー2023の入選作品の展覧会レポート(後編)。“実施を前提とした設計中ないしは施工中のもの”という条件での建築コンペで、若手建築家の登竜門としても知られる左:「里山タイニーハウス 滴滴庵」大山亮+片山果穂+笹木聖+渕野剛史+増井柚香子+宮﨑陸、正面奥:「里山だった場所と融合する家」森屋隆洋、右:「六郷キャンパスプロジェクト」冨永美保+川見拓也 photo©architecturephoto

SDレビュー2023の入選作品の展覧会レポート(後編)です。
“実施を前提とした設計中ないしは施工中のもの”という条件の建築コンペティションで、若手建築家の登竜門としても知られています。本記事では展覧会の様子を前編・後編に分けて紹介します(前編はこちらからどうぞ)。会期は2023年9月15日~24日。SDレビュー2023の審査を務めたのは、千葉学中山英之山田憲明金野千恵でした。展覧会の公式サイトはこちら

SDレビューとは

SDレビューは、実際に「建てる」という厳しい現実の中で、設計者がひとつの明確なコンセプトを導き出す思考の過程を、ドローイングと模型によって示そうというものです。
実現見込みのないイメージやアイデアではなく、実現作を募集します。
1982年、建築家・槇文彦氏の発案のもとに第1回目が開催され、以降毎年「建築・環境・インテリアのドローイングと模型」の展覧会とその誌上発表を行っております。

以下、入選作品を展示順に掲載します。

SDレビュー2023の入選作品の展覧会レポート(前編)。“実施を前提とした設計中ないしは施工中のもの”という条件での建築コンペで、若手建築家の登竜門としても知られる
SDレビュー2023の入選作品の展覧会レポート(前編)。“実施を前提とした設計中ないしは施工中のもの”という条件での建築コンペで、若手建築家の登竜門としても知られる左:「100年の家 S邸改修計画」百枝優、右手前:「小さな開発」水上哲也、右奥:「TEMPO」湯浅良介 photo©architecturephoto
SDレビュー2023の入選作品の展覧会レポート(前編)。“実施を前提とした設計中ないしは施工中のもの”という条件での建築コンペで、若手建築家の登竜門としても知られる左:「1:1のハウス」河嶋正樹+荒木康佑、中央奥:「House on the Border」土屋紘奈+杉山幸一郎+倉掛健寛+豊福晃弘+早坂環、右:「竹が繋ぐ地域の和ものづくりを通した町づくり」西村安未+猪又理子+江南聖也+吉川直杜+大石親良+川崎爽+中田陸+箱田里菜+陶器浩一+滋賀県立大学陶器浩一研究室 photo©architecturephoto

SDレビュー2023の入選作品の展覧会レポート(前編)です。
“実施を前提とした設計中ないしは施工中のもの”という条件の建築コンペティションで、若手建築家の登竜門としても知られています。本記事では展覧会の様子を前編・後編に分けて紹介します。会期は2023年9月15日~24日。SDレビュー2023の審査を務めたのは、千葉学中山英之山田憲明金野千恵でした。展覧会の公式サイトはこちら

SDレビューとは

SDレビューは、実際に「建てる」という厳しい現実の中で、設計者がひとつの明確なコンセプトを導き出す思考の過程を、ドローイングと模型によって示そうというものです。
実現見込みのないイメージやアイデアではなく、実現作を募集します。
1982年、建築家・槇文彦氏の発案のもとに第1回目が開催され、以降毎年「建築・環境・インテリアのドローイングと模型」の展覧会とその誌上発表を行っております。

以下、入選作品を展示順に掲載します。

藤田雄介が手掛ける、建具ブランド“戸戸”の展覧会「戸戸 CASE STUDIES」が、都内2箇所で開催。会期中にトークイベントも行われる
藤田雄介が手掛ける、建具ブランド“戸戸”の展覧会「戸戸 CASE STUDIES」が、都内2箇所で開催。会期中にトークイベントも行われる

藤田雄介が手掛ける、建具ブランド“戸戸(こと)”の展覧会「戸戸 CASE STUDIES」が、都内2箇所で開催されます。
前編は、東京・文京区の「plateau books」にて、2023年10月6日~10月29日(※金土日祝日のみ)の期間開催。後編は、東京・練馬区の「AROUND ARCHITECTURE COFFEE(佐竹邸1F)」にて、2023年11月4日~11月26日(*土日のみ)の期間開催されます。また、会期中にトークイベントも行われます。アーキテクチャーフォトでは、藤田雄介に「戸戸」について聞いたインタビューを特集記事として公開しています。

戸戸 CASE STUDIES

設計活動と並行して建具ブランド「戸戸(こと)」を始めて、早5年が過ぎました。縁あって、10月と11月にふたつの場所で展示をすることになりました。

10月のplateau booksでの展示は、普段通り本屋として営業する状態を崩さずに、ハッキングするような展示になります。11月はAROUND ARCHITECTURE 佐竹さんの自邸1階のギャラリースペースで、コーヒースタンドの営業もあります。コンパクトな空間なので、展示の雰囲気も変わります。さらに、それぞれの会期中にトークイベントを開催します。個人的に話してみたかった、住宅研究者の谷繁玲央さん、GROUPの井上岳さんに登壇してもらえることになりました。とても楽しみです。

また展示に合わせて、これまで戸戸の製品を使ってくれた、建築家の皆さんの事例の一部をまとめた小さな本をつくりました。こちらも是非ご覧下さい。

少し涼しくなっているはずの、秋の東京の散歩ついでに是非お立ち寄りください。

建築家によるテキストより

以下に、展覧会とトークイベントの詳細な情報を掲載します。

西澤徹夫による、TOTOギャラリー・間での建築展「偶然は用意のあるところに」。これまでに手掛けた文化施設等の模型を中心に構成。限りない“チューニング”の積み重ねから生まれる自身の建築について、周縁的で断片的なオブジェクトから“事後的に探る”体験を提供
西澤徹夫による、TOTOギャラリー・間での建築展「偶然は用意のあるところに」。これまでに手掛けた文化施設等の模型を中心に構成。限りない“チューニング”の積み重ねから生まれる自身の建築について、周縁的で断片的なオブジェクトから“事後的に探る”体験を提供ギャラリー1の全景。 photo©architecturephoto
西澤徹夫による、TOTOギャラリー・間での建築展「偶然は用意のあるところに」。これまでに手掛けた文化施設等の模型を中心に構成。限りない“チューニング”の積み重ねから生まれる自身の建築について、周縁的で断片的なオブジェクトから“事後的に探る”体験を提供奥:a.The Last Night of the Stone Age / 2020年 / 制作:曽根裕、手前:b.リトルチェア(鉄板で再制作) photo©architecturephoto
西澤徹夫による、TOTOギャラリー・間での建築展「偶然は用意のあるところに」。これまでに手掛けた文化施設等の模型を中心に構成。限りない“チューニング”の積み重ねから生まれる自身の建築について、周縁的で断片的なオブジェクトから“事後的に探る”体験を提供ギャラリー2の全景。 photo©architecturephoto

西澤徹夫による、TOTOギャラリー・間での建築展「偶然は用意のあるところに」の会場写真です。
これまでに手掛けた文化施設等の模型を中心に構成されました。建築家は、限りない“チューニング”の積み重ねから生み出す自身の建築について、周縁的で断片的なオブジェクトより“事後的に探る”体験を提供することも意図しました。会期は、2023年9月14日~2023年11月26日。展覧会の公式サイトはこちら

今回の展覧会は、「京都市京セラ美術館」※1や「八戸市美術館」※2をはじめとする文化施設や美術展の会場構成など美術館関係の仕事を数多く手掛けている建築家・西澤徹夫氏の初の個展です。

「建築の全体性とは、どこまでのことを指すのか?」と西澤氏は問います。建築が扱う対象はどんどんふくらんでいくこと、具象として現れたものの裏側にこそ、私たちが建築と呼ぶものの核心のようなものが内在していること。そのような不可視のものを計画することの過程にこそ建築の魅力があるのではないか、と述べています。
タイトルの「偶然は用意のあるところに」は、いまだ見えていない核心に触れるためにできうる限りすべての準備を整えておくという、氏の建築との真摯な向き合い方を表した言葉だと言えます。西澤氏の緻密な設計と現場での限りない「チューニング」の積み重ねによって生まれる建築が、訪れる人に悦びや新しい発見をもたらすことも、こうした姿勢から生まれる幸運のひとつなのかもしれません。

氏はこの展覧会を「自らも未だ気づいていない何かを発見するプロジェクト」と捉えています。本展覧会を通して、訪れた人が建築の抱えている豊かな内面について想いを巡らし、それらを見出す手がかりになれば幸いです。

共同設計者:※1青木淳建築計画事務所、※2浅子佳英・森純平

リリーステキストより

西澤徹夫による展覧会コンセプト
偶然は用意のあるところに

その核心は明言できないけれど、周縁にて記述されるような存在が建築なのかなと思うことがあります。

言葉による形容に、目の前の様相に、手の感触に、その確かさを感じることができるにもかかわらず、しかしその中心にあるべきなにかとても豊かだが掴みきれないようなもの、あるいはそれらの関係全体を、予め計画するということはどういうことなのか、をずっと考えてきたように思います。それ自体は具体でありながら、本来掴みとりたいものはその背後にしか無いような気がする、という建築のこの働きこそ、僕たちを駆り立てるものの正体なのかもしれません。“Chance favors the prepared mind.”は細菌学者ルイ・パスツールの言葉で、幸運を呼び寄せる主体的な力、心の構え、のようなものこそが探していないものを発見する、という意味の格言として知られています。その建築がなにを成しているのかに出合うにはそのような心の準備を必要とするし、それによって探し出していないものを予め探し出そうとする試みを、計画と呼んでいるのかもしれません。そしてこの試みの最中に生み出される図面や模型といった表現もまた、ありうべき建築の核心部分を掴むための手がかりでもあるはずです。

本展は、僕自身がこれからどのような建築の計画を試みようとしているのかという、未だ発見していないなにかを探し出すためのプロジェクトです。これまで関わってきた建築の計画がなにを象ってきたのかを、周縁的で断片的なオブジェクトから事後的に探ってみる試みもまた、建築がもつ豊かさへの扉となることを願っています。

リリーステキストより
小説家 柴崎友香・藤原徹平・中山英之・デザイナー 古平正義が出演する、日本ペイント主催のスペシャルトークセッションが開催。建築学生コンペ「AYDA2023」の開催に合わせて行われる審査員ら参加のイベント。学生限定で参加者を募集中
小説家 柴崎友香・藤原徹平・中山英之・デザイナー 古平正義が出演する、日本ペイント主催のスペシャルトークセッションが開催。建築学生コンペ「AYDA2023」の開催に合わせて行われる審査員ら参加のイベント。学生限定で参加者を募集中

小説家 柴崎友香・藤原徹平・中山英之・デザイナー 古平正義が出演する、日本ペイント主催のスペシャルトークセッションが開催されます。
建築学生コンペ「AYDA2023の開催に合わせて行われる審査員ら参加のイベントです。学生限定で参加者を募集中。開催場所は、東京・墨田区の喫茶ランドリー本店です。開催日時は、2023年9月26日(火)18:00~19:30参加費無料です。こちらのページでの事前申込制です。【ap・ad】

日本ペイントグループが主催する建築コンペ「AYDA Awards 2023」(旧Asia Young Designers Awards)が
今年も審査員とデザイナーを招いたスペシャルトークセッションを開催します。(学生限定)

今年のテーマは、『他人と私の柔らかい器』です。

芥川賞受賞作家 柴崎友香さんを審査員長に迎え、建築家 藤原徹平さん、中山英之さんには今年も審査員として参画していただいています。
今回のスペシャルトークセッションには、審査員3名に、ビジュアルデザインに携わってくださっているデザイナー古平正義氏も加わった豪華なメンバーでテーマについて熱くトークいただきます。

コンペにチャレンジしたい皆さん、テーマについてのヒントを得られるチャンスです。
ぜひご参加ください。

【ゲスト】
小説家 柴崎友香氏
建築家 藤原徹平氏
建築家 中山英之氏
デザイナー 古平正義氏

【スケジュール】
17:30~    開場
18:00~19:00  トークセッション
19:00~19:30  質疑応答(引き続き残っていただける方は質疑応答タイムにご参加ください)

以下に、今年のテーマ「他人と私の柔らかい器」についてのステートメントも掲載します。

原広司による、神奈川・多摩区の“粟津潔邸”(1972年竣工)を会場にした展覧会「吉國元展」が開催

原広司が設計した、神奈川・多摩区の“粟津潔邸”(1972年竣工)を会場にした展覧会「吉國元展 『根拠地』粟津邸ではじまる」が開催されます。会期は、2023年9月9日~10月29日の土曜・日曜の11時~17時です。入場料、1000円。

畝森泰行による、愛知淑徳大学での建築展「ゆっくり庭をつくるように」の会場写真。建築家と学生が協働して作る展覧会。“総体的な建築体験”を与える会場を目指し、8つの木造フレームを用いて空間と展示物が緩やかに一体化する構成を考案。代表作の一部を再現した“原寸”モックアップ等も展示
畝森泰行による、愛知淑徳大学での建築展「ゆっくり庭をつくるように」の会場写真。建築家と学生が協働して作る展覧会。“総体的な建築体験”を与える会場を目指し、8つの木造フレームを用いて空間と展示物が緩やかに一体化する構成を考案。代表作の一部を再現した“原寸”モックアップ等も展示 photo©ToLoLo studio
畝森泰行による、愛知淑徳大学での建築展「ゆっくり庭をつくるように」の会場写真。建築家と学生が協働して作る展覧会。“総体的な建築体験”を与える会場を目指し、8つの木造フレームを用いて空間と展示物が緩やかに一体化する構成を考案。代表作の一部を再現した“原寸”モックアップ等も展示 photo©ToLoLo studio
畝森泰行による、愛知淑徳大学での建築展「ゆっくり庭をつくるように」の会場写真。建築家と学生が協働して作る展覧会。“総体的な建築体験”を与える会場を目指し、8つの木造フレームを用いて空間と展示物が緩やかに一体化する構成を考案。代表作の一部を再現した“原寸”モックアップ等も展示 photo©ToLoLo studio

畝森泰行による、愛知淑徳大学での建築展「ゆっくり庭をつくるように」の会場写真です。
建築家と学生が協働して作る展覧会です。建築家と学生は、“総体的な建築体験”を与える会場を目指し、8つの木造フレームを用いて空間と展示物が緩やかに一体化する構成を考案しました。また、代表作の一部を再現した“原寸”モックアップ等も展示されています。会期は、2023年9月17日まで。展覧会の公式ページはこちら

畝森泰行によるステートメント

私たちは建築の全てを把握できません。その物理的な大きさや複雑さゆえに、一度に全体を眺めるのは難しく、また設計中に模型や図面を使ってどんなに想像しても、どこか理解できない余白が残ります。また建築はたくさんの人が時間をかけてつくります。その過程で個人の考えや当初のイメージから変わっていくことがあり、それらの理由で建築は、強く固定的な存在でありながらも、曖昧で他律的な側面をもつと言えます。

私はそういう建築の不確かな部分に惹かれます。朧げで変わりうるところがあるからこそ、緩やかに動く自然や異なる他者と結びつく可能性をもつのであり、それがいま、バラバラな個人をつなぎ、早すぎる時間を緩め、閉じた世界をほぐすことになるのではないだろうか、そう期待するのです。この不確かで曖昧な存在を今回私は「庭」と呼ぼうと思いました。

会場は愛知淑徳大学の学生と協働して考えました。その試行錯誤も私たちが思う庭となってそこに現れることを期待しています。

リリーステキストより
ピーター・ズントーの建築展「Architectural Models from the Atelier Peter Zumthor」。自身が設計した建築を会場に開催。40個の模型を建物の内外に展示。建築に“アトモスフィア”を与える為の接合と組み合わせの論理を示す
ピーター・ズントーの建築展「Architectural Models from the Atelier Peter Zumthor」。自身が設計した建築を会場に開催。40個の模型を建物の内外に展示。建築に“アトモスフィア”を与える為の接合と組み合わせの論理を示す photo©WERKRAUM ZUMTHOR Dominic Kummer
ピーター・ズントーの建築展「Architectural Models from the Atelier Peter Zumthor」。自身が設計した建築を会場に開催。40個の模型を建物の内外に展示。建築に“アトモスフィア”を与える為の接合と組み合わせの論理を示す photo©WERKRAUM ZUMTHOR Dominic Kummer
ピーター・ズントーの建築展「Architectural Models from the Atelier Peter Zumthor」。自身が設計した建築を会場に開催。40個の模型を建物の内外に展示。建築に“アトモスフィア”を与える為の接合と組み合わせの論理を示す photo©WERKRAUM ZUMTHOR Dominic Kummer

ピーター・ズントーの建築展「Architectural Models from the Atelier Peter Zumthor」です。
自身が設計した建築を会場で開催されています。40個の模型が建物の内外に展示されました。また、模型群は、建築に“アトモスフィア”を与える為の接合と組み合わせの論理を示しています。会期は2023年9月16日まで。展覧会の公式ページはこちら


こちらはリリーステキストの翻訳です

この展覧会では、スイスの建築家ピーター・ズントーによる建築模型が、アンデルスブーフにあるヴェルクラウムハウスという、彼自身が計画した建物の中に展示されています。ズントーは、模型を使って空間を作り上げることで、素材、構造、形が一体となった状態に到達します。モデルたちは、この統一への探求を物語っています。クラフトマンシップを視覚化し、雰囲気を作り出す作品として、それらはデザイナーや建築家の世界で特別な評価を得ています。ヴェルクラウムハウスでの展示は、ツムトールの姿勢を2つの方法で同時に示しています。それは、展示された様々な模型と、それらを収容する建物です。

ブレゲンツァーヴァルト工房は2013年、ブレゲンツの森のアンデルスブッフにヴェルクラウムハウスをオープンしました。スイス人建築家ペーター・ツムトールによって計画されたこの建物は、地元の職人たちとともに構想され建設されました。そして、クラフトマンシップの象徴として、世界的な称賛を集めています。3月18日から9月16日まで開催されるこの建築模型の展覧会にとって、建築文化と熟練工に捧げられたセンターは、まさに相応しい場所です。アトリエ・ピーター・ズントーの40の模型が、700㎡の屋内外のスペースに、個々に、あるいは群で展示されています。その中には、ごく最近のものや、これまで公開されたことのない模型も含まれています。この展覧会は、フィンランドの建築家であり展覧会デザイナーでもあるハンネレ・グレンルンドとピーター・ズントーとのコラボレーションにより企画されました。

アトリエ・ピーター・ズントーの模型は、デザイナーや建築家の世界で特別な評価を得ています。素材から手がかりを得る建設的な考え方、強い視覚的アピール、素材、構造、形が一体となった姿勢を示しています。ズントーの模型は、この統一の探求を物語っています。それらは、建築手法と素材が重要な要素であるアトモスフィアを彼の建築空間に与えるために、接合と組合せの論理を探求する彼の姿を示しています。

磯崎新の上海での回顧展「Arata Isozaki: In Formation」の会場写真。発電所を改修したパワーステーション・オブ・アートを会場に開催。磯崎の実践を9つの重要なコンセプトで編成して紹介。会場構成は日埜直彦が手掛ける
磯崎新の上海での回顧展「Arata Isozaki: In Formation」の会場写真。発電所を改修したパワーステーション・オブ・アートを会場に開催。磯崎の実践を9つの重要なコンセプトで編成して紹介。会場構成は日埜直彦が手掛けるInstallation view of “Arata Isozaki: In Formation” © Power Station of Art
磯崎新の上海での回顧展「Arata Isozaki: In Formation」の会場写真。発電所を改修したパワーステーション・オブ・アートを会場に開催。磯崎の実践を9つの重要なコンセプトで編成して紹介。会場構成は日埜直彦が手掛けるInstallation view of “Arata Isozaki: In Formation” © Power Station of Art
磯崎新の上海での回顧展「Arata Isozaki: In Formation」の会場写真。発電所を改修したパワーステーション・オブ・アートを会場に開催。磯崎の実践を9つの重要なコンセプトで編成して紹介。会場構成は日埜直彦が手掛けるInstallation view of “Arata Isozaki: In Formation” © Power Station of Art

磯崎新の中国・上海での回顧展「Arata Isozaki: In Formation」の会場写真です。
発電所を改修したパワーステーション・オブ・アートを会場に開催されました。磯崎の実践を9つの重要なコンセプトで編成して紹介しています。また、会場構成は日埜直彦が手掛けました。会期は2023年11月19日まで。展覧会の公式ページはこちら


こちらはリリーステキストの翻訳です

磯崎新:イン・フォーメーション

2023年8月26日から11月19日まで、プリツカー賞を受賞した磯崎新の最も包括的な回顧展「Arata Isozaki: In Formation」がパワー・ステーション・オブ・アート(PSA)で開催されます。磯崎新の建築と芸術のキャリアを包括する大回顧展として、この展覧会は、さまざまな時代における彼の思想の軌跡を多角的にたどります。

展覧会の、同済大学建築都市計画学院のディーンであるLi Xiangningと、ニユーエ・インスティトゥートのジェネラル・ディレクター兼アーティスティック・ディレクターであるAric Chenの共同キュレーションによるものです。20世紀で最も創造的かつ先駆的な建築家の一人である磯崎新は、その実践を日本文化に根ざしつつも、国際的な視点を備えています。彼は歴史的な考察を独創性の高い建築表現に吹き込んできました。建築とアートを横断する彼の実践は、独自の文化的視点を形成し、建築の実践を孤立した空間形態から社会的文脈におけるマルチメディア作品へと拡張してきました。PSAでの展覧会では、模型、スケッチ、インスタレーション、絵画、映像などの豊富なメディアを組み合わせ、磯崎新のキャリアのさまざまな段階における建築的血統と、建築を超えた文化的・思想的実践をミクロな物語として紹介する。

本展では、磯崎新の実践を9つの極めて重要なコンセプトによって編成し、文化、分野、時代を超えた磯崎新の思考の系統を紹介します。

キーコンセプト1:廃墟
10代の磯崎新が体験した第二次世界大戦中の空襲で瓦礫と化した街の姿に端を発する廃墟のイメージは、彼のキャリアの出発点となった。建築概念、テキスト、インスタレーションなどの形態を通して、磯崎は「空中都市」、「都市破壊業」、「孵化過程」などのプロジェクトを展開し、近代建築や都市計画が想定する直線的な時間概念を批判した。

東京建築士会が主催する「住宅建築賞2023入賞作品展」をレポート。“東京のローカリティ”をテーマに作品を募集。受賞者は、齋藤隆太郎+井手駿(金賞)、服部大祐、古谷俊一、溝部礼士+坪井宏嗣、工藤浩平+宮崎侑也
東京建築士会が主催する「住宅建築賞2023入賞作品展」をレポート。“東京のローカリティ”をテーマに作品を募集。受賞者は、齋藤隆太郎+井手駿(金賞)、服部大祐、古谷俊一、溝部礼士+坪井宏嗣、工藤浩平+宮崎侑也 photo©architecturephoto
東京建築士会が主催する「住宅建築賞2023入賞作品展」をレポート。“東京のローカリティ”をテーマに作品を募集。受賞者は、齋藤隆太郎+井手駿(金賞)、服部大祐、古谷俊一、溝部礼士+坪井宏嗣、工藤浩平+宮崎侑也 photo©architecturephoto
東京建築士会が主催する「住宅建築賞2023入賞作品展」をレポート。“東京のローカリティ”をテーマに作品を募集。受賞者は、齋藤隆太郎+井手駿(金賞)、服部大祐、古谷俊一、溝部礼士+坪井宏嗣、工藤浩平+宮崎侑也 photo©architecturephoto

東京建築士会が主催する「住宅建築賞2023入賞作品展」をレポートします。会場は建築会館ギャラリーです。
住宅建築賞金賞を、齋藤隆太郎(DOG)+井手駿が受賞。住宅建築賞を、服部大祐(Schenk Hattori)古谷俊一(古谷デザイン建築設計事務所)溝部礼士(溝部礼士建築設計事務所)坪井宏嗣(坪井宏嗣構造設計事務所)工藤浩平+宮崎侑也(工藤浩平建築設計事務所)が受賞しています。審査したのは吉村靖孝大野博史倉方俊輔中川エリカ西沢大良でした。また、各作品の資料や審査講評がこちらのPDFにまとまっています。開催情報は、記事の末尾に掲載します。

住宅建築賞について

「住宅建築賞」はすでに新人建築家の登竜門として定着しており、その入賞作品を通して住宅建築に対する理解をさらに深め、近年多様化している「すまい」の新しい可能性を見出そうとするものです。 この住宅建築賞の入賞作品を公開展示することにより、建築に携わる方々への新鮮な刺激とし、より多くの人々に建築文化を広げる機会となればと考えています。

応募作品は原則として最近3年以内に竣工し、東京圏に建つ一戸建住宅、集合住宅及び併用住宅等(大幅な増改築*、公共の建築も含む)の作品を募集しています。書類による第一次審査と現地審査による第二次審査により受賞作品を決定します。 *確認申請不要物件の場合遵法であること。

住宅建築賞2023の主旨「東京のローカリティ」

本賞は「新人建築家の登竜門」を謳う賞で、過去の受賞者のその後の活躍を見れば看板に偽りなしと言える。ただ、昔から気がかりだった事がひとつあって、それは、東京周辺以外の住宅作品を審査対象から除外して来た事だ。もちろん、大前提が”東京”建築士会の顕彰活動であるし、現地審査を一日で終えるなどの条件から考えても東京周辺限定は致し方ないのだが、一方で、新人建築家にとって東京に作品があることは単なる偶然でしかないし、仮に東京在住かつ東京建築士会会員であっても東京に作品がなければ応募できないといった矛盾もある。登竜門として全国的知名度を得た今となっては、東京限定の募集はどこかちぐはぐで、東京一極集中に対し無批評かつ無責任にも映るし、ともすれば東京=全国と吹聴しているかのような誤解を与えかねない。
であるならば逆に、今回はいっそのことこの住宅建築賞を「東京のローカリティ」を考える機会と捉えてみたい。localの語源はラテン語のlocus(~の場所)で、つまり特定の場所に根ざすことこそが肝心で、必ずしも「地方の~」を意味しない。世界随一のメガシティであることとローカルであることは矛盾しないのである。また特に近年は、感染症や戦争が各地のローカリティを蹂躙する様を目の当たりにし、私自身もローカリティについて考える機会が増えている。はたして「東京のローカリティ」は可能か。もし可能ならばそれはどのようなものなのか。「場所」としての東京の可能性を押し広げるような作品の応募を期待している。
(審査員長 吉村靖孝)

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