川久保智康建築設計事務所による、埼玉・熊谷市の「第二なでしここども園」。周囲に“山並みを感じる”敷地での計画。子供たちの記憶に残る景色の創出を求め、木架構を用いた“山々の稜線”と呼応する屋根形状の建築を考案。地域の暑さへの対策として日射や通風の考慮に加えて断熱性能も確保鳥瞰、北東側より見下ろす。 photo©傍島利浩
川久保智康建築設計事務所による、埼玉・熊谷市の「第二なでしここども園」。周囲に“山並みを感じる”敷地での計画。子供たちの記憶に残る景色の創出を求め、木架構を用いた“山々の稜線”と呼応する屋根形状の建築を考案。地域の暑さへの対策として日射や通風の考慮に加えて断熱性能も確保2階、「2F園庭」 photo©傍島利浩
川久保智康建築設計事務所による、埼玉・熊谷市の「第二なでしここども園」。周囲に“山並みを感じる”敷地での計画。子供たちの記憶に残る景色の創出を求め、木架構を用いた“山々の稜線”と呼応する屋根形状の建築を考案。地域の暑さへの対策として日射や通風の考慮に加えて断熱性能も確保1階、遊戯室 ランチルーム側から中庭を見る、夕景 photo©傍島利浩
川久保智康建築設計事務所による、埼玉・熊谷市の「第二なでしここども園」。周囲に“山並みを感じる”敷地での計画。子供たちの記憶に残る景色の創出を求め、木架構を用いた“山々の稜線”と呼応する屋根形状の建築を考案。地域の暑さへの対策として日射や通風の考慮に加えて断熱性能も確保外観、東側の園庭より見る、夕景 photo©傍島利浩
川久保智康建築設計事務所が設計した、埼玉・熊谷市の「第二なでしここども園」です。
周囲に“山並みを感じる”敷地での計画です。建築家は、子供たちの記憶に残る景色の創出を求め、木架構を用いた“山々の稜線”と呼応する屋根形状の建築を考案しました。また、地域の暑さへの対策として日射や通風の考慮に加えて断熱性能も確保しています。
すべての保育室は開放的な屋外と近い関係になるように配慮し、周囲から見守られて安全な中庭、強い日差しや雨を防ぐ屋根付きの広場(ピロティー・回廊)、周囲の田園風景と相まって走りまわれる開放的なデッキなどを設置しています。子供たちは建物内外の好きな場所を選んで過ごすことができます。
関東平野から見る山々の記憶をデザインする敷地からは南西方向より時計回りに、富士山、秩父連山(甲武信ヶ岳・両神山・城峯山・東御荷鉾山)、浅間山、北に赤城山、日光男体山、そして東に筑波山、関東平野の真ん中からはぐるりと山並みを感じることができます。
これはこの地域の子供たちに覚えておいてほしい貴重な景色。連なる梁とそれらによる面の傾斜で山々の稜線を屋根の形に写し取り、シンクロさせて園舎の記憶となります。幼少期の微かな思い出の一端を紡ぐ仕掛けになったらと願っています。
埼玉県熊谷市は日本一暑いまちとしても有名です。子供たちをその暑さから守ることは、この計画において大きなテーマでした。園舎の断熱性能は断熱等級4を確保し、強い日射を受ける2階の保育室にはサッシの外側に屋外用ブラインドを設置して調光・遮光できます。また、屋外では日影をつくるピロティー・回廊・庇を設けて日射対策や通風を考慮するとともに、蒸発の際に気化熱を吸収するミストや霧の発生装置により涼しさを補完しています。
さまざまな活動を支えるため、基壇部を鉄筋コンクリート造として、地上から2階へと子供達が走りまわるタフさを求め、その上部構造には軽快で柔らかな印象の木造を採用しました。耐火建築物が要求されることから、当然ながら木造部も耐火仕様となります。柱、梁、壁は1 時間の燃焼に耐える厚いプラスターボードにより被覆されるため、残念ながらこの複雑な架構は姿として現すことはできませんが、木造を採用したことで、より自由な屋根形状が可能となりました。
以下の写真はクリックで拡大します
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川久保智康建築設計事務所による、埼玉・熊谷市の「第二なでしここども園」。周囲に“山並みを感じる”敷地での計画。子供たちの記憶に残る景色の創出を求め、木架構を用いた“山々の稜線”と呼応する屋根形状の建築を考案。地域の暑さへの対策として日射や通風の考慮に加えて断熱性能も確保鳥瞰、北東側より見下ろす。 photo©傍島利浩
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川久保智康建築設計事務所による、埼玉・熊谷市の「第二なでしここども園」。周囲に“山並みを感じる”敷地での計画。子供たちの記憶に残る景色の創出を求め、木架構を用いた“山々の稜線”と呼応する屋根形状の建築を考案。地域の暑さへの対策として日射や通風の考慮に加えて断熱性能も確保俯瞰、東側より見下ろす。 photo©川久保智康
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川久保智康建築設計事務所による、埼玉・熊谷市の「第二なでしここども園」。周囲に“山並みを感じる”敷地での計画。子供たちの記憶に残る景色の創出を求め、木架構を用いた“山々の稜線”と呼応する屋根形状の建築を考案。地域の暑さへの対策として日射や通風の考慮に加えて断熱性能も確保外観、東側の園庭より見る。 photo©傍島利浩
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川久保智康建築設計事務所による、埼玉・熊谷市の「第二なでしここども園」。周囲に“山並みを感じる”敷地での計画。子供たちの記憶に残る景色の創出を求め、木架構を用いた“山々の稜線”と呼応する屋根形状の建築を考案。地域の暑さへの対策として日射や通風の考慮に加えて断熱性能も確保外観、東側の園庭より見る。 photo©傍島利浩
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川久保智康建築設計事務所による、埼玉・熊谷市の「第二なでしここども園」。周囲に“山並みを感じる”敷地での計画。子供たちの記憶に残る景色の創出を求め、木架構を用いた“山々の稜線”と呼応する屋根形状の建築を考案。地域の暑さへの対策として日射や通風の考慮に加えて断熱性能も確保外観、東側の園庭より見る。 photo©傍島利浩
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川久保智康建築設計事務所による、埼玉・熊谷市の「第二なでしここども園」。周囲に“山並みを感じる”敷地での計画。子供たちの記憶に残る景色の創出を求め、木架構を用いた“山々の稜線”と呼応する屋根形状の建築を考案。地域の暑さへの対策として日射や通風の考慮に加えて断熱性能も確保外観、東側の園庭より「2F園庭」側を見る。 photo©傍島利浩
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川久保智康建築設計事務所による、埼玉・熊谷市の「第二なでしここども園」。周囲に“山並みを感じる”敷地での計画。子供たちの記憶に残る景色の創出を求め、木架構を用いた“山々の稜線”と呼応する屋根形状の建築を考案。地域の暑さへの対策として日射や通風の考慮に加えて断熱性能も確保外観、東側の園庭より「2F園庭」側を見る。(暑さ対策のためのミストを発生させている) photo©傍島利浩
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川久保智康建築設計事務所による、埼玉・熊谷市の「第二なでしここども園」。周囲に“山並みを感じる”敷地での計画。子供たちの記憶に残る景色の創出を求め、木架構を用いた“山々の稜線”と呼応する屋根形状の建築を考案。地域の暑さへの対策として日射や通風の考慮に加えて断熱性能も確保園庭と建物 photo©傍島利浩
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川久保智康建築設計事務所による、埼玉・熊谷市の「第二なでしここども園」。周囲に“山並みを感じる”敷地での計画。子供たちの記憶に残る景色の創出を求め、木架構を用いた“山々の稜線”と呼応する屋根形状の建築を考案。地域の暑さへの対策として日射や通風の考慮に加えて断熱性能も確保1階、中庭 photo©傍島利浩
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川久保智康建築設計事務所による、埼玉・熊谷市の「第二なでしここども園」。周囲に“山並みを感じる”敷地での計画。子供たちの記憶に残る景色の創出を求め、木架構を用いた“山々の稜線”と呼応する屋根形状の建築を考案。地域の暑さへの対策として日射や通風の考慮に加えて断熱性能も確保1階、遊戯室 ランチルーム photo©傍島利浩
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川久保智康建築設計事務所による、埼玉・熊谷市の「第二なでしここども園」。周囲に“山並みを感じる”敷地での計画。子供たちの記憶に残る景色の創出を求め、木架構を用いた“山々の稜線”と呼応する屋根形状の建築を考案。地域の暑さへの対策として日射や通風の考慮に加えて断熱性能も確保1階、遊戯室 ランチルーム photo©傍島利浩
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川久保智康建築設計事務所による、埼玉・熊谷市の「第二なでしここども園」。周囲に“山並みを感じる”敷地での計画。子供たちの記憶に残る景色の創出を求め、木架構を用いた“山々の稜線”と呼応する屋根形状の建築を考案。地域の暑さへの対策として日射や通風の考慮に加えて断熱性能も確保1階、0歳児ほふく室 photo©傍島利浩
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川久保智康建築設計事務所による、埼玉・熊谷市の「第二なでしここども園」。周囲に“山並みを感じる”敷地での計画。子供たちの記憶に残る景色の創出を求め、木架構を用いた“山々の稜線”と呼応する屋根形状の建築を考案。地域の暑さへの対策として日射や通風の考慮に加えて断熱性能も確保1階、1歳児ほふく室 photo©傍島利浩
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川久保智康建築設計事務所による、埼玉・熊谷市の「第二なでしここども園」。周囲に“山並みを感じる”敷地での計画。子供たちの記憶に残る景色の創出を求め、木架構を用いた“山々の稜線”と呼応する屋根形状の建築を考案。地域の暑さへの対策として日射や通風の考慮に加えて断熱性能も確保1階、2歳児保育室 photo©傍島利浩
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川久保智康建築設計事務所による、埼玉・熊谷市の「第二なでしここども園」。周囲に“山並みを感じる”敷地での計画。子供たちの記憶に残る景色の創出を求め、木架構を用いた“山々の稜線”と呼応する屋根形状の建築を考案。地域の暑さへの対策として日射や通風の考慮に加えて断熱性能も確保2階、「2F園庭」 photo©傍島利浩
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川久保智康建築設計事務所による、埼玉・熊谷市の「第二なでしここども園」。周囲に“山並みを感じる”敷地での計画。子供たちの記憶に残る景色の創出を求め、木架構を用いた“山々の稜線”と呼応する屋根形状の建築を考案。地域の暑さへの対策として日射や通風の考慮に加えて断熱性能も確保2階、「2F園庭」 photo©傍島利浩
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川久保智康建築設計事務所による、埼玉・熊谷市の「第二なでしここども園」。周囲に“山並みを感じる”敷地での計画。子供たちの記憶に残る景色の創出を求め、木架構を用いた“山々の稜線”と呼応する屋根形状の建築を考案。地域の暑さへの対策として日射や通風の考慮に加えて断熱性能も確保2階、「2F園庭」から1階の園庭を見下ろす。 photo©傍島利浩
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川久保智康建築設計事務所による、埼玉・熊谷市の「第二なでしここども園」。周囲に“山並みを感じる”敷地での計画。子供たちの記憶に残る景色の創出を求め、木架構を用いた“山々の稜線”と呼応する屋根形状の建築を考案。地域の暑さへの対策として日射や通風の考慮に加えて断熱性能も確保2階、「2F園庭」 photo©傍島利浩
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川久保智康建築設計事務所による、埼玉・熊谷市の「第二なでしここども園」。周囲に“山並みを感じる”敷地での計画。子供たちの記憶に残る景色の創出を求め、木架構を用いた“山々の稜線”と呼応する屋根形状の建築を考案。地域の暑さへの対策として日射や通風の考慮に加えて断熱性能も確保2階、年少エントランス photo©傍島利浩
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川久保智康建築設計事務所による、埼玉・熊谷市の「第二なでしここども園」。周囲に“山並みを感じる”敷地での計画。子供たちの記憶に残る景色の創出を求め、木架構を用いた“山々の稜線”と呼応する屋根形状の建築を考案。地域の暑さへの対策として日射や通風の考慮に加えて断熱性能も確保2階、年長エントランス photo©傍島利浩
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川久保智康建築設計事務所による、埼玉・熊谷市の「第二なでしここども園」。周囲に“山並みを感じる”敷地での計画。子供たちの記憶に残る景色の創出を求め、木架構を用いた“山々の稜線”と呼応する屋根形状の建築を考案。地域の暑さへの対策として日射や通風の考慮に加えて断熱性能も確保2階、左:年中エントランス、右:年長エントランスに繋がる廊下 photo©傍島利浩
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川久保智康建築設計事務所による、埼玉・熊谷市の「第二なでしここども園」。周囲に“山並みを感じる”敷地での計画。子供たちの記憶に残る景色の創出を求め、木架構を用いた“山々の稜線”と呼応する屋根形状の建築を考案。地域の暑さへの対策として日射や通風の考慮に加えて断熱性能も確保2階、年少保育室 photo©傍島利浩
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川久保智康建築設計事務所による、埼玉・熊谷市の「第二なでしここども園」。周囲に“山並みを感じる”敷地での計画。子供たちの記憶に残る景色の創出を求め、木架構を用いた“山々の稜線”と呼応する屋根形状の建築を考案。地域の暑さへの対策として日射や通風の考慮に加えて断熱性能も確保2階、年少保育室 photo©傍島利浩
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川久保智康建築設計事務所による、埼玉・熊谷市の「第二なでしここども園」。周囲に“山並みを感じる”敷地での計画。子供たちの記憶に残る景色の創出を求め、木架構を用いた“山々の稜線”と呼応する屋根形状の建築を考案。地域の暑さへの対策として日射や通風の考慮に加えて断熱性能も確保2階、年中保育室 photo©傍島利浩
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川久保智康建築設計事務所による、埼玉・熊谷市の「第二なでしここども園」。周囲に“山並みを感じる”敷地での計画。子供たちの記憶に残る景色の創出を求め、木架構を用いた“山々の稜線”と呼応する屋根形状の建築を考案。地域の暑さへの対策として日射や通風の考慮に加えて断熱性能も確保2階、年中保育室 photo©傍島利浩
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川久保智康建築設計事務所による、埼玉・熊谷市の「第二なでしここども園」。周囲に“山並みを感じる”敷地での計画。子供たちの記憶に残る景色の創出を求め、木架構を用いた“山々の稜線”と呼応する屋根形状の建築を考案。地域の暑さへの対策として日射や通風の考慮に加えて断熱性能も確保2階、年長保育室 photo©傍島利浩
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川久保智康建築設計事務所による、埼玉・熊谷市の「第二なでしここども園」。周囲に“山並みを感じる”敷地での計画。子供たちの記憶に残る景色の創出を求め、木架構を用いた“山々の稜線”と呼応する屋根形状の建築を考案。地域の暑さへの対策として日射や通風の考慮に加えて断熱性能も確保2階、年長保育室 photo©傍島利浩
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川久保智康建築設計事務所による、埼玉・熊谷市の「第二なでしここども園」。周囲に“山並みを感じる”敷地での計画。子供たちの記憶に残る景色の創出を求め、木架構を用いた“山々の稜線”と呼応する屋根形状の建築を考案。地域の暑さへの対策として日射や通風の考慮に加えて断熱性能も確保2階、和室 photo©傍島利浩
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川久保智康建築設計事務所による、埼玉・熊谷市の「第二なでしここども園」。周囲に“山並みを感じる”敷地での計画。子供たちの記憶に残る景色の創出を求め、木架構を用いた“山々の稜線”と呼応する屋根形状の建築を考案。地域の暑さへの対策として日射や通風の考慮に加えて断熱性能も確保1階、遊戯室 ランチルーム側から中庭を見る、夕景 photo©傍島利浩
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川久保智康建築設計事務所による、埼玉・熊谷市の「第二なでしここども園」。周囲に“山並みを感じる”敷地での計画。子供たちの記憶に残る景色の創出を求め、木架構を用いた“山々の稜線”と呼応する屋根形状の建築を考案。地域の暑さへの対策として日射や通風の考慮に加えて断熱性能も確保1階、遊戯室 ランチルーム側から中庭を見る、夕景 photo©傍島利浩
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川久保智康建築設計事務所による、埼玉・熊谷市の「第二なでしここども園」。周囲に“山並みを感じる”敷地での計画。子供たちの記憶に残る景色の創出を求め、木架構を用いた“山々の稜線”と呼応する屋根形状の建築を考案。地域の暑さへの対策として日射や通風の考慮に加えて断熱性能も確保外観、東側の園庭より見る、夕景 photo©傍島利浩
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川久保智康建築設計事務所による、埼玉・熊谷市の「第二なでしここども園」。周囲に“山並みを感じる”敷地での計画。子供たちの記憶に残る景色の創出を求め、木架構を用いた“山々の稜線”と呼応する屋根形状の建築を考案。地域の暑さへの対策として日射や通風の考慮に加えて断熱性能も確保屋根の形状を見る。(現場段階の様子) photo©傍島利浩
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川久保智康建築設計事務所による、埼玉・熊谷市の「第二なでしここども園」。周囲に“山並みを感じる”敷地での計画。子供たちの記憶に残る景色の創出を求め、木架構を用いた“山々の稜線”と呼応する屋根形状の建築を考案。地域の暑さへの対策として日射や通風の考慮に加えて断熱性能も確保1階平面図 image©川久保智康建築設計事務所
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川久保智康建築設計事務所による、埼玉・熊谷市の「第二なでしここども園」。周囲に“山並みを感じる”敷地での計画。子供たちの記憶に残る景色の創出を求め、木架構を用いた“山々の稜線”と呼応する屋根形状の建築を考案。地域の暑さへの対策として日射や通風の考慮に加えて断熱性能も確保2階平面図 image©川久保智康建築設計事務所
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川久保智康建築設計事務所による、埼玉・熊谷市の「第二なでしここども園」。周囲に“山並みを感じる”敷地での計画。子供たちの記憶に残る景色の創出を求め、木架構を用いた“山々の稜線”と呼応する屋根形状の建築を考案。地域の暑さへの対策として日射や通風の考慮に加えて断熱性能も確保短手方向断面図 image©川久保智康建築設計事務所
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川久保智康建築設計事務所による、埼玉・熊谷市の「第二なでしここども園」。周囲に“山並みを感じる”敷地での計画。子供たちの記憶に残る景色の創出を求め、木架構を用いた“山々の稜線”と呼応する屋根形状の建築を考案。地域の暑さへの対策として日射や通風の考慮に加えて断熱性能も確保長手方向断面図 image©川久保智康建築設計事務所
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川久保智康建築設計事務所による、埼玉・熊谷市の「第二なでしここども園」。周囲に“山並みを感じる”敷地での計画。子供たちの記憶に残る景色の創出を求め、木架構を用いた“山々の稜線”と呼応する屋根形状の建築を考案。地域の暑さへの対策として日射や通風の考慮に加えて断熱性能も確保構造モデル image©川久保智康建築設計事務所
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川久保智康建築設計事務所による、埼玉・熊谷市の「第二なでしここども園」。周囲に“山並みを感じる”敷地での計画。子供たちの記憶に残る景色の創出を求め、木架構を用いた“山々の稜線”と呼応する屋根形状の建築を考案。地域の暑さへの対策として日射や通風の考慮に加えて断熱性能も確保屋根の施工中の様子 photo©傍島利浩
以下、建築家によるテキストです。
最大200人を超える子供たちが過ごす幼保連携型認定こども園の計画です。
1階に0~2歳児、2階に3~5歳児の保育室を配置し、それぞれに保育や教育が行われます。すべての保育室は開放的な屋外と近い関係になるように配慮し、周囲から見守られて安全な中庭、強い日差しや雨を防ぐ屋根付きの広場(ピロティー・回廊)、周囲の田園風景と相まって走りまわれる開放的なデッキなどを設置しています。子供たちは建物内外の好きな場所を選んで過ごすことができます。
関東平野から見る山々の記憶をデザインする敷地からは南西方向より時計回りに、富士山、秩父連山(甲武信ヶ岳・両神山・城峯山・東御荷鉾山)、浅間山、北に赤城山、日光男体山、そして東に筑波山、関東平野の真ん中からはぐるりと山並みを感じることができます。
これはこの地域の子供たちに覚えておいてほしい貴重な景色。連なる梁とそれらによる面の傾斜で山々の稜線を屋根の形に写し取り、シンクロさせて園舎の記憶となります。幼少期の微かな思い出の一端を紡ぐ仕掛けになったらと願っています。
日本一暑いまち熊谷 園児を守る暑さ対策
埼玉県熊谷市は日本一暑いまちとしても有名です。子供たちをその暑さから守ることは、この計画において大きなテーマでした。園舎の断熱性能は断熱等級4を確保し、強い日射を受ける2階の保育室にはサッシの外側に屋外用ブラインドを設置して調光・遮光できます。また、屋外では日影をつくるピロティー・回廊・庇を設けて日射対策や通風を考慮するとともに、蒸発の際に気化熱を吸収するミストや霧の発生装置により涼しさを補完しています。
RC+木造の耐火建築物
さまざまな活動を支えるため、基壇部を鉄筋コンクリート造として、地上から2階へと子供達が走りまわるタフさを求め、その上部構造には軽快で柔らかな印象の木造を採用しました。耐火建築物が要求されることから、当然ながら木造部も耐火仕様となります。柱、梁、壁は1 時間の燃焼に耐える厚いプラスターボードにより被覆されるため、残念ながらこの複雑な架構は姿として現すことはできませんが、木造を採用したことで、より自由な屋根形状が可能となりました。
■建築概要
題名:第二なでしここども園
所在地:埼玉県熊谷市
主用途:幼保連携型認定こども園
設計:川久保智康建築設計事務所 担当/川久保智康、杉原由樹子、高野慧、近藤康之
施工:石川建設株式会社
構造設計:久米弘記建築構造研究所
構造:RC(鉄筋コンクリート)造一部木造
階数:地上2階
敷地面積:4239.29㎡
建築面積:1123.52㎡
延床面積:1720.63㎡
設計:2019年6月~2023年2月
工事:2023年3月~2024年3月
竣工:2024年3月
写真:傍島利浩