成瀬・猪熊建築設計事務所と&K architectsによる、東京・中野区のシェアハウス「Social Base東中野」。街中の旧社員寮を転用。中庭のある“ロの字型”平面の活用を意図し、庭に近い場所の壁等を解体し外部化して中庭から共用部が広がる様に再構成。素材や色の選択は都会の喧騒から離れられる“落ち着いた空間”を意図外観 photo©西川公朗
成瀬・猪熊建築設計事務所と&K architectsによる、東京・中野区のシェアハウス「Social Base東中野」。街中の旧社員寮を転用。中庭のある“ロの字型”平面の活用を意図し、庭に近い場所の壁等を解体し外部化して中庭から共用部が広がる様に再構成。素材や色の選択は都会の喧騒から離れられる“落ち着いた空間”を意図渡り廊下 photo©西川公朗
成瀬・猪熊建築設計事務所と&K architectsによる、東京・中野区のシェアハウス「Social Base東中野」。街中の旧社員寮を転用。中庭のある“ロの字型”平面の活用を意図し、庭に近い場所の壁等を解体し外部化して中庭から共用部が広がる様に再構成。素材や色の選択は都会の喧騒から離れられる“落ち着いた空間”を意図1階、左:エントランスホール、右:ダイニング photo©西川公朗
成瀬・猪熊建築設計事務所と&K architectsによる、東京・中野区のシェアハウス「Social Base東中野」。街中の旧社員寮を転用。中庭のある“ロの字型”平面の活用を意図し、庭に近い場所の壁等を解体し外部化して中庭から共用部が広がる様に再構成。素材や色の選択は都会の喧騒から離れられる“落ち着いた空間”を意図1階、ダイニング photo©西川公朗
成瀬・猪熊建築設計事務所と&K architectsが設計した、東京・中野区のシェアハウス「Social Base東中野」です。
街中の旧社員寮を転用する計画です。建築家は、中庭のある“ロの字型”平面の活用を意図し、庭に近い場所の壁等を解体し外部化して中庭から共用部が広がる様に再構成しました。また、素材や色の選択は都会の喧騒から離れられる“落ち着いた空間”が意図されました。
築57年の旧JR東日本東中野寮を耐震補強・リノベーションし、シェアハウスとして再生したプロジェクトです。
敷地は東中野駅のほど近く、店舗や住宅、高層マンションが混在する雑多な街の中にある。既存建物の一番の特徴はロの字型の構成だが、その大きな中庭空間は、外部からは感じられず、またその中央に屋内廊下があることで庭が二つに分断され、本来の可能性を活かしているとは言えない状況だった。
私たちはこのロの字形の構成を生かすため、もともと室内であった中庭を貫通する廊下やエントランスといった屋内空間62㎡を、屋根を残して解体した。室内の共用部は、この中庭を中心に広がるよう再構成し、浴室だった場所を段差のあるラウンジやワークスペースに、閉じていた厨房をオープンなキッチンに、管理人の寝食スペースだった場所を防音室やトレーニングジムに、また寮室の一部とメールコーナーをシャワールームに置き換えた。
仕上げについては、中庭を含む外壁を落ち着いたグレーの階調に塗装し直し、室内は共用部をダークトーンと木でまとめ、中庭にむかって大きく開きながらも、素材が豊で手触りがある、落ち着いた空間とした。情報量の多い都会の喧騒から一気に離れることのできる、精神的にも空間的にも余白を生み出す住まいとなっている。
以下の写真はクリックで拡大します
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成瀬・猪熊建築設計事務所と&K architectsによる、東京・中野区のシェアハウス「Social Base東中野」。街中の旧社員寮を転用。中庭のある“ロの字型”平面の活用を意図し、庭に近い場所の壁等を解体し外部化して中庭から共用部が広がる様に再構成。素材や色の選択は都会の喧騒から離れられる“落ち着いた空間”を意図外観 photo©西川公朗
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成瀬・猪熊建築設計事務所と&K architectsによる、東京・中野区のシェアハウス「Social Base東中野」。街中の旧社員寮を転用。中庭のある“ロの字型”平面の活用を意図し、庭に近い場所の壁等を解体し外部化して中庭から共用部が広がる様に再構成。素材や色の選択は都会の喧騒から離れられる“落ち着いた空間”を意図外観 photo©西川公朗
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成瀬・猪熊建築設計事務所と&K architectsによる、東京・中野区のシェアハウス「Social Base東中野」。街中の旧社員寮を転用。中庭のある“ロの字型”平面の活用を意図し、庭に近い場所の壁等を解体し外部化して中庭から共用部が広がる様に再構成。素材や色の選択は都会の喧騒から離れられる“落ち着いた空間”を意図外観 photo©西川公朗
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成瀬・猪熊建築設計事務所と&K architectsによる、東京・中野区のシェアハウス「Social Base東中野」。街中の旧社員寮を転用。中庭のある“ロの字型”平面の活用を意図し、庭に近い場所の壁等を解体し外部化して中庭から共用部が広がる様に再構成。素材や色の選択は都会の喧騒から離れられる“落ち着いた空間”を意図左:ピロティ、右:ライブラリー photo©西川公朗
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成瀬・猪熊建築設計事務所と&K architectsによる、東京・中野区のシェアハウス「Social Base東中野」。街中の旧社員寮を転用。中庭のある“ロの字型”平面の活用を意図し、庭に近い場所の壁等を解体し外部化して中庭から共用部が広がる様に再構成。素材や色の選択は都会の喧騒から離れられる“落ち着いた空間”を意図渡り廊下 photo©西川公朗
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成瀬・猪熊建築設計事務所と&K architectsによる、東京・中野区のシェアハウス「Social Base東中野」。街中の旧社員寮を転用。中庭のある“ロの字型”平面の活用を意図し、庭に近い場所の壁等を解体し外部化して中庭から共用部が広がる様に再構成。素材や色の選択は都会の喧騒から離れられる“落ち着いた空間”を意図テラスから中庭を見る。 photo©西川公朗
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成瀬・猪熊建築設計事務所と&K architectsによる、東京・中野区のシェアハウス「Social Base東中野」。街中の旧社員寮を転用。中庭のある“ロの字型”平面の活用を意図し、庭に近い場所の壁等を解体し外部化して中庭から共用部が広がる様に再構成。素材や色の選択は都会の喧騒から離れられる“落ち着いた空間”を意図1階、左:エントランスホール、右:ダイニング photo©西川公朗
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成瀬・猪熊建築設計事務所と&K architectsによる、東京・中野区のシェアハウス「Social Base東中野」。街中の旧社員寮を転用。中庭のある“ロの字型”平面の活用を意図し、庭に近い場所の壁等を解体し外部化して中庭から共用部が広がる様に再構成。素材や色の選択は都会の喧騒から離れられる“落ち着いた空間”を意図1階、ダイニング photo©西川公朗
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成瀬・猪熊建築設計事務所と&K architectsによる、東京・中野区のシェアハウス「Social Base東中野」。街中の旧社員寮を転用。中庭のある“ロの字型”平面の活用を意図し、庭に近い場所の壁等を解体し外部化して中庭から共用部が広がる様に再構成。素材や色の選択は都会の喧騒から離れられる“落ち着いた空間”を意図1階、ダイニング photo©西川公朗
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成瀬・猪熊建築設計事務所と&K architectsによる、東京・中野区のシェアハウス「Social Base東中野」。街中の旧社員寮を転用。中庭のある“ロの字型”平面の活用を意図し、庭に近い場所の壁等を解体し外部化して中庭から共用部が広がる様に再構成。素材や色の選択は都会の喧騒から離れられる“落ち着いた空間”を意図1階、ダイニングからシェアキッチンを見る。 photo©西川公朗
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成瀬・猪熊建築設計事務所と&K architectsによる、東京・中野区のシェアハウス「Social Base東中野」。街中の旧社員寮を転用。中庭のある“ロの字型”平面の活用を意図し、庭に近い場所の壁等を解体し外部化して中庭から共用部が広がる様に再構成。素材や色の選択は都会の喧騒から離れられる“落ち着いた空間”を意図1階、ラウンジ photo©西川公朗
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成瀬・猪熊建築設計事務所と&K architectsによる、東京・中野区のシェアハウス「Social Base東中野」。街中の旧社員寮を転用。中庭のある“ロの字型”平面の活用を意図し、庭に近い場所の壁等を解体し外部化して中庭から共用部が広がる様に再構成。素材や色の選択は都会の喧騒から離れられる“落ち着いた空間”を意図1階、ワークルーム photo©西川公朗
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成瀬・猪熊建築設計事務所と&K architectsによる、東京・中野区のシェアハウス「Social Base東中野」。街中の旧社員寮を転用。中庭のある“ロの字型”平面の活用を意図し、庭に近い場所の壁等を解体し外部化して中庭から共用部が広がる様に再構成。素材や色の選択は都会の喧騒から離れられる“落ち着いた空間”を意図1階、シアタールーム photo©西川公朗
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成瀬・猪熊建築設計事務所と&K architectsによる、東京・中野区のシェアハウス「Social Base東中野」。街中の旧社員寮を転用。中庭のある“ロの字型”平面の活用を意図し、庭に近い場所の壁等を解体し外部化して中庭から共用部が広がる様に再構成。素材や色の選択は都会の喧騒から離れられる“落ち着いた空間”を意図1階、トレーニングルーム photo©西川公朗
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成瀬・猪熊建築設計事務所と&K architectsによる、東京・中野区のシェアハウス「Social Base東中野」。街中の旧社員寮を転用。中庭のある“ロの字型”平面の活用を意図し、庭に近い場所の壁等を解体し外部化して中庭から共用部が広がる様に再構成。素材や色の選択は都会の喧騒から離れられる“落ち着いた空間”を意図1階、スタジオ photo©西川公朗
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成瀬・猪熊建築設計事務所と&K architectsによる、東京・中野区のシェアハウス「Social Base東中野」。街中の旧社員寮を転用。中庭のある“ロの字型”平面の活用を意図し、庭に近い場所の壁等を解体し外部化して中庭から共用部が広がる様に再構成。素材や色の選択は都会の喧騒から離れられる“落ち着いた空間”を意図1階、廊下 photo©西川公朗
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成瀬・猪熊建築設計事務所と&K architectsによる、東京・中野区のシェアハウス「Social Base東中野」。街中の旧社員寮を転用。中庭のある“ロの字型”平面の活用を意図し、庭に近い場所の壁等を解体し外部化して中庭から共用部が広がる様に再構成。素材や色の選択は都会の喧騒から離れられる“落ち着いた空間”を意図階段の詳細 photo©西川公朗
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成瀬・猪熊建築設計事務所と&K architectsによる、東京・中野区のシェアハウス「Social Base東中野」。街中の旧社員寮を転用。中庭のある“ロの字型”平面の活用を意図し、庭に近い場所の壁等を解体し外部化して中庭から共用部が広がる様に再構成。素材や色の選択は都会の喧騒から離れられる“落ち着いた空間”を意図階段室 photo©西川公朗
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成瀬・猪熊建築設計事務所と&K architectsによる、東京・中野区のシェアハウス「Social Base東中野」。街中の旧社員寮を転用。中庭のある“ロの字型”平面の活用を意図し、庭に近い場所の壁等を解体し外部化して中庭から共用部が広がる様に再構成。素材や色の選択は都会の喧騒から離れられる“落ち着いた空間”を意図個室 photo©西川公朗
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成瀬・猪熊建築設計事務所と&K architectsによる、東京・中野区のシェアハウス「Social Base東中野」。街中の旧社員寮を転用。中庭のある“ロの字型”平面の活用を意図し、庭に近い場所の壁等を解体し外部化して中庭から共用部が広がる様に再構成。素材や色の選択は都会の喧騒から離れられる“落ち着いた空間”を意図男性用トイレ photo©西川公朗
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成瀬・猪熊建築設計事務所と&K architectsによる、東京・中野区のシェアハウス「Social Base東中野」。街中の旧社員寮を転用。中庭のある“ロの字型”平面の活用を意図し、庭に近い場所の壁等を解体し外部化して中庭から共用部が広がる様に再構成。素材や色の選択は都会の喧騒から離れられる“落ち着いた空間”を意図テラス、夜景 photo©西川公朗
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成瀬・猪熊建築設計事務所と&K architectsによる、東京・中野区のシェアハウス「Social Base東中野」。街中の旧社員寮を転用。中庭のある“ロの字型”平面の活用を意図し、庭に近い場所の壁等を解体し外部化して中庭から共用部が広がる様に再構成。素材や色の選択は都会の喧騒から離れられる“落ち着いた空間”を意図外観、夜景 photo©西川公朗
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成瀬・猪熊建築設計事務所と&K architectsによる、東京・中野区のシェアハウス「Social Base東中野」。街中の旧社員寮を転用。中庭のある“ロの字型”平面の活用を意図し、庭に近い場所の壁等を解体し外部化して中庭から共用部が広がる様に再構成。素材や色の選択は都会の喧騒から離れられる“落ち着いた空間”を意図1階平面図 image©成瀬・猪熊建築設計事務所と&K architects
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成瀬・猪熊建築設計事務所と&K architectsによる、東京・中野区のシェアハウス「Social Base東中野」。街中の旧社員寮を転用。中庭のある“ロの字型”平面の活用を意図し、庭に近い場所の壁等を解体し外部化して中庭から共用部が広がる様に再構成。素材や色の選択は都会の喧騒から離れられる“落ち着いた空間”を意図基準階平面図 image©成瀬・猪熊建築設計事務所と&K architects
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成瀬・猪熊建築設計事務所と&K architectsによる、東京・中野区のシェアハウス「Social Base東中野」。街中の旧社員寮を転用。中庭のある“ロの字型”平面の活用を意図し、庭に近い場所の壁等を解体し外部化して中庭から共用部が広がる様に再構成。素材や色の選択は都会の喧騒から離れられる“落ち着いた空間”を意図南北断面図 image©成瀬・猪熊建築設計事務所と&K architects
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成瀬・猪熊建築設計事務所と&K architectsによる、東京・中野区のシェアハウス「Social Base東中野」。街中の旧社員寮を転用。中庭のある“ロの字型”平面の活用を意図し、庭に近い場所の壁等を解体し外部化して中庭から共用部が広がる様に再構成。素材や色の選択は都会の喧騒から離れられる“落ち着いた空間”を意図改修前平面図 image©成瀬・猪熊建築設計事務所と&K architects
以下、建築家によるテキストです。
築57年の旧JR東日本東中野寮を耐震補強・リノベーションし、シェアハウスとして再生したプロジェクトです。
敷地は東中野駅のほど近く、店舗や住宅、高層マンションが混在する雑多な街の中にある。既存建物の一番の特徴はロの字型の構成だが、その大きな中庭空間は、外部からは感じられず、またその中央に屋内廊下があることで庭が二つに分断され、本来の可能性を活かしているとは言えない状況だった。
私たちはこのロの字形の構成を生かすため、もともと室内であった中庭を貫通する廊下やエントランスといった屋内空間62㎡を、屋根を残して解体した。室内の共用部は、この中庭を中心に広がるよう再構成し、浴室だった場所を段差のあるラウンジやワークスペースに、閉じていた厨房をオープンなキッチンに、管理人の寝食スペースだった場所を防音室やトレーニングジムに、また寮室の一部とメールコーナーをシャワールームに置き換えた。
仕上げについては、中庭を含む外壁を落ち着いたグレーの階調に塗装し直し、室内は共用部をダークトーンと木でまとめ、中庭にむかって大きく開きながらも、素材が豊で手触りがある、落ち着いた空間とした。情報量の多い都会の喧騒から一気に離れることのできる、精神的にも空間的にも余白を生み出す住まいとなっている。
今回の計画は、リノベーションであるが故に建蔽率・容積率ともに、それぞれ許容値の半分程度・2/3程度の余裕のある配置がそのまま残され、それを内部の素材や色調を含めた細部まで調整することによって、この住環境が成立している。
再開発が容積を上げ続けることしかできないのに対して、この計画では全く別の価値を提示できたのではないだろうか。
■建築概要
作品名:Social Base東中野
建築設計:成瀬・猪熊建築設計事務所、&K architects
構造設計:木下洋介構造計画
設備設計:環境エンジニアリング
施工:長谷工リフォーム
構造:鉄筋コンクリート造
階数:地上4階
住戸数:102戸
住戸専用面積:12.48㎡
敷地面積:2419.7㎡
建築面積:908.1㎡
延床面積:2581.5㎡
工期:2022年3月~2023年3月
写真:西川公朗