工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載俯瞰、北側から見下ろす。 photo©楠瀬友将
工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載外観、敷地内の東側から見る。 photo©楠瀬友将
工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載1階、南側のギャラリーからガラス越しにダイニングルームを見る。 photo©楠瀬友将
工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載1階、リビングルームからダイニングルームを見る。 photo©楠瀬友将
工藤浩平建築設計事務所が設計した、秋田市の住宅「楢山の別邸」です。
風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求した計画です。建築家は、断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案しました。また本記事では、立石遼太郎による論考“ドミノというシステム”も掲載します。
秋田県秋田市楢山にある自然公園の麓に、夫婦ふたりのための別荘のような住宅を計画した。
敷地は前面に住宅地が広がり、背後には自然公園である森が佇む。住宅街から森に向かって緩やかに登っていくような傾斜地である。森の深いところでは、カモシカやタヌキと出会うこともある。寒冷地であるがゆえに外と内の断絶が強くなりがちな秋田でも、こうした豊かな自然環境を日々の生活の中で身近に感じることができるような住宅を考えたいと思った。
秋田の厳しい環境下で、物理的に室外とつながる開き方ではない、環境と風土に沿った自然な開き方を探した。
例えば、厳しい寒さから身を守るためには、断熱材をくるんだ分厚い壁を建てるのが一般的かもしれないが、断熱材を空気層と置き換え、空気層をうんと分厚くし断熱材と同等の断熱性能を確保することによって、不透明な壁をガラスに置き換えてみた。
室内が明るくなることはもちろん、ガラスから漏れ出る灯りが、雪に覆われた街に明るさを取り戻すことになるだろう。
一見、ガラスのダブルスキンという外皮は寒冷地では特別なことと思われるが、室内環境は守りつつ、断続的に光を提供している様を見ると、この特別な外皮がむしろ秋田の環境に寄り添った普遍的な開き方ではないかと思う。
「生活」のなかに「風景」が混じっていくようなイメージをもって平面のあり方を検討した。
不透明な壁はどうしても視線を交錯させたくない場面にしか用いず、外部に対してはほぼ全面ガラス張りとした。その内側の立面を移動すると、外の風景が途切れることなく一連のシークエンスをつくりだし、徐々に方向感覚がほどけていくような、おおらかな空間を目指した。
寝室の外に広がる庭に目をやりながら、先ほどまで居たリビングからの住宅街が頭に残り書斎から見えていた竹林がキッチンからは遠くに見えて残像と重なる。このように、移動によって得た風景を脳内で貼り合わせ、「生活」のなかに「風景」が自然と入り込むよう計画した。
竣工時(撮影:楠瀬友将 / 2020年11月)
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載俯瞰、東側から見下ろす。 photo©楠瀬友将
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載俯瞰、南側から見下ろす。 photo©楠瀬友将
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載俯瞰、北側から見下ろす。 photo©楠瀬友将
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載俯瞰、西側から屋根を見下ろす。 photo©楠瀬友将
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載外観、南側の道路から見る。 photo©楠瀬友将
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載外観、敷地内の東側から見る。 photo©楠瀬友将
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載外観、敷地内の南東側から見る。 photo©楠瀬友将
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載外観、敷地内の北東側より見る。 photo©楠瀬友将
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載外観、敷地内の北東側より見る。 photo©楠瀬友将
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載ガラスのダブルスキンの詳細 photo©楠瀬友将
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載1階のスラブと地面の間の空間 photo©楠瀬友将
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載地階、玄関ホールから1階への階段を見る。 photo©楠瀬友将
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載1階、階段側から南側のギャラリーを見る。 photo©楠瀬友将
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載1階、南側のギャラリーからガラス越しにダイニングルームを見る。 photo©楠瀬友将
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載1階、左:ダイニングルーム、右奥:リビングルーム photo©楠瀬友将
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載1階、ダイニングルームからリビングルームを見る。 photo©楠瀬友将
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載1階、リビングルームからダイニングルームを見る。 photo©楠瀬友将
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載1階、リビングルームからガラス越しにダイニングルームを見る。 photo©楠瀬友将
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載1階、北側のギャラリーからガラス越しに中庭を見る。 photo©楠瀬友将
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載1階、ルーム2 photo©楠瀬友将
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載1階、ダイニングルームからガラス越しに空を見上げる、夕景 photo©楠瀬友将
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載俯瞰、北側から屋根を見下ろす、夕景 photo©楠瀬友将
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載俯瞰、北東側から見下ろす、夕景 photo©楠瀬友将
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載俯瞰、北西側から見下ろす、夕景 photo©楠瀬友将
入居後(撮影:楠瀬友将 / 2021年6月)
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載鳥瞰、敷地上空から見下ろす。 photo©楠瀬友将
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載俯瞰、南西側から見下ろす。 photo©楠瀬友将
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載俯瞰、北東側から見下ろす。 photo©楠瀬友将
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載俯瞰、東側から見下ろす。 photo©楠瀬友将
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載外観、南側の道路より見る。 photo©楠瀬友将
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載外観、敷地内の南側より見る。 photo©楠瀬友将
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載外観、敷地内の南側より見る。 photo©楠瀬友将
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載外観、敷地内の北東側より見る。 photo©楠瀬友将
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載外観、敷地内の東側より見る。 photo©楠瀬友将
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載外観、敷地内の北東側より見る。 photo©楠瀬友将
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載外観、敷地内の北西側より見る。 photo©楠瀬友将
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載外観、敷地内の西側より見る。 photo©楠瀬友将
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載1階、南側のギャラリー photo©楠瀬友将
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載1階、ダイニングルームからリビングルームを見る。 photo©楠瀬友将
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載1階、リビングルーム photo©楠瀬友将
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載1階、リビングルームからダイニングルームを見る。 photo©楠瀬友将
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載1階、キッチン横から北側のギャラリーを見る。 photo©楠瀬友将
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載1階、キッチン photo©楠瀬友将
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載1階、北側のギャラリーからルーム2側を見る。 photo©楠瀬友将
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載1階、ルーム2 photo©楠瀬友将
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載1階、ルーム2 photo©楠瀬友将
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載1階、北側のギャラリーからルーム1側を見る。 photo©楠瀬友将
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載1階、北側のギャラリーからルーム1側を見る。 photo©楠瀬友将
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載1階、ルーム1 photo©楠瀬友将
入居後(撮影:竹内吉彦 / 2021年6月)
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載楢山の別邸のシーン photo©竹内吉彦
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載楢山の別邸のシーン photo©竹内吉彦
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載楢山の別邸のシーン photo©竹内吉彦
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載楢山の別邸のシーン photo©竹内吉彦
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載楢山の別邸のシーン photo©竹内吉彦
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載楢山の別邸のシーン photo©竹内吉彦
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載楢山の別邸のシーン photo©竹内吉彦
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載楢山の別邸のシーン photo©竹内吉彦
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載楢山の別邸のシーン photo©竹内吉彦
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載楢山の別邸のシーン photo©竹内吉彦
図面
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載平面図 image©工藤浩平建築設計事務所
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載断面図 image©工藤浩平建築設計事務所
施工中(撮影:中村絵 / 2020年7月)
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載施工中の躯体 photo©中村絵
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載施工中の躯体 photo©中村絵
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載施工中の躯体 photo©中村絵
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載施工中の躯体 photo©中村絵
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載施工中の躯体 photo©中村絵
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載施工中の躯体 photo©中村絵
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載施工中の躯体 photo©中村絵
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載施工中の躯体 photo©中村絵
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載施工中の躯体 photo©中村絵
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工藤浩平建築設計事務所による、秋田市の住宅「楢山の別邸」。風土と環境に応える“普遍的な開き方”を追求。断熱性能のある“ガラスのダブルスキン”で包まれ、生活と風景が混じり合う連続性のある平面構成の建築を考案 / 立石遼太郎の論考“ドミノというシステム”も掲載施工中の躯体 photo©中村絵
工藤浩平によるテキスト「楢山の別邸について」
日常の風景と、非日常の風景
秋田県秋田市楢山にある自然公園の麓に、夫婦ふたりのための別荘のような住宅を計画した。
敷地は前面に住宅地が広がり、背後には自然公園である森が佇む。住宅街から森に向かって緩やかに登っていくような傾斜地である。森の深いところでは、カモシカやタヌキと出会うこともある。寒冷地であるがゆえに外と内の断絶が強くなりがちな秋田でも、こうした豊かな自然環境を日々の生活の中で身近に感じることができるような住宅を考えたいと思った。
そこでまず、緩やかに傾斜した斜面にフラットな床をつくり、その上にバラバラな方向へと生活空間をひろげ、さらにそれらをダブルスキンのガラスでくるむことを思いついた。
寒冷地では、どうしても生活が各々の部屋で完結してしまうが、ここでは部屋同士を行き来することが「生活」だと考え、全体を捉えることができない「風景」と「生活」のあり方を考えた。よって様々な方向へ広がる生活空間を、廊下でつなぐのではなく、部屋同士が重なるようにしてつなぐことを試みた。
たとえばリビングの角がダイニングキッチンと合わさって中庭ができたり、ギャラリーが湾曲していつの間にかバスルームになったりと各部屋がお互いの空間を補完するように計画し、廊下を極力排除することで、生活が部屋から溢れ出るような空間の実現を目指した。
平面について
「生活」のなかに「風景」が混じっていくようなイメージをもって平面のあり方を検討した。
不透明な壁はどうしても視線を交錯させたくない場面にしか用いず、外部に対してはほぼ全面ガラス張りとした。その内側の立面を移動すると、外の風景が途切れることなく一連のシークエンスをつくりだし、徐々に方向感覚がほどけていくような、おおらかな空間を目指した。
寝室の外に広がる庭に目をやりながら、先ほどまで居たリビングからの住宅街が頭に残り書斎から見えていた竹林がキッチンからは遠くに見えて残像と重なる。このように、移動によって得た風景を脳内で貼り合わせ、「生活」のなかに「風景」が自然と入り込むよう計画した。
床について
クライアント夫婦が老後も無理なく暮らせるよう、床はフラットとすることが求められた。浮いたフラットな床は、ただバリアフリーに貢献するだけではなく、豪雨時の流水や積雪といった厳しい環境から守ることにも寄与している。
敷地が傾斜していることも相まって、前面に目を向けると街を一望できる高さを感じ、後ろを振り向くと庭の草木が目に入る。地面と着かず離れずの関係を保ちながら風景が近づいたり遠ざかったりする体験が、ひとつのランドスケープとして現れてくるような、床と地面の関係を考えられたように思う。
環境について
秋田の厳しい環境下で、物理的に室外とつながる開き方ではない、環境と風土に沿った自然な開き方を探した。
例えば、厳しい寒さから身を守るためには、断熱材をくるんだ分厚い壁を建てるのが一般的かもしれないが、断熱材を空気層と置き換え、空気層をうんと分厚くし断熱材と同等の断熱性能を確保することによって、不透明な壁をガラスに置き換えてみた。
室内が明るくなることはもちろん、ガラスから漏れ出る灯りが、雪に覆われた街に明るさを取り戻すことになるだろう。
一見、ガラスのダブルスキンという外皮は寒冷地では特別なことと思われるが、室内環境は守りつつ、断続的に光を提供している様を見ると、この特別な外皮がむしろ秋田の環境に寄り添った普遍的な開き方ではないかと思う。
一度立ち止まって、考えてみること
もう一つの「地面」をつくった段階で、写真を撮影することは、改めて客観的にこの場所を見返す契機となり、つくりながら考えてきた私たちのスタイルにとって、とても有効な方法であった。
浮いたフラットな床からの視点で改めて敷地を見直すことにより、どこに壁を入れるかをもう一度、最初から考え直した。
ガラスは透明だが、壁であり物理的なものであり、角度によって反射板のように映り、内外を切り分ける。また、この状態で不透明な壁をいれると見えなくなるものがある。そういった計画上や予算上で削りきったものが本当に正しいか、フィジカルな状態を新たな地面に立って考える必要があった。
設計した「地面」にクライアントと立つと、ある一方では街や森が一望できる見晴らしの良い場所ができており、ある場所では腰を掛けられるほど大地に近づく場所があったりと、この敷地の身体性が浮き彫りになった。空との境界は傾斜に関係なく勾配のついた屋根によってつくられ、光の差し込む場所が生まれていた。
この状態を強化するために一度減額し、取りやめたガラスをクライアントの要望で、多く復活させることになった。敷地とストラクチャーの対峙の先に生まれた新たな環境は、室内外を乗り越えて住むことへの期待感に満ちていた。
立石遼太郎による論考「ドミノというシステム」
楢山の別邸
楢山の別邸を訪れる。初夏の秋田、五月晴れ、北日本らしい涼しさ。おそらく一年のうちで最も気持ちのいい季節だったのだろう。
山から道に向かってなだらかに下がる敷地。建物はピロティ型の構成をとっており、敷地の勾配とは無関係に2階レベルに持ち上げられている。
楢山の別邸は、矩形のガラスの箱を敷地いっぱいに広げて、箱同士を有機的な線でつなぐ図式をもつ。ひとつひとつの箱には、寝室・ダイニングキッチン・バスルームといった機能が割り当てられている。
ガラス張りの有機的な形をした豪邸、そんなぼんやりとした感想を抱いて、楢山の別邸をあとにした。
ドミノ
帰宅、テレビをつける。しばしザッピング。改変期なのか、目ぼしい番組もとくにない。ドミノ倒しの番組にチャンネルを合わせてみる。小学生が一生懸命ドミノを並べている。芸能人が息を潜めて見守る。何度も見たことのある、お馴染みの光景。
ドミノ / 事の次第
カウントダウン。ドミノが倒れていく。ドミノは坂を登ったり崖から落ちたりしながら、倒れることをやめない。ドミノの流れはやがて分岐する。分岐した支流は富士山になる。校長先生の顔になり、テレビ局の名前になる。ドミノによって富士山が描かれる間、本流のドミノはあいも変わらず着々と倒れ続ける。
カメラは富士山を上から撮り、倒れ続けるドミノを追いかけ、全てのドミノが倒れるように祈る小学生の真剣なまなざしを捉え、手を握る芸能人の顔を狙う。これらいくつものカメラを、ワイプを多用しひとつの画面におさめることで、ドミノが倒れていくだけの地味な絵面をテレビ番組として成立させている。
大円団で番組が終わる。
ドミノ倒しとピラゴラスイッチはよく似ている。どちらも、「物が倒れていくだけの様子をカメラが追いかける」という単純な構造で番組は成り立つ。ピタゴラスイッチはペーター・フィッシュリ&ダヴィッド・ヴァイスの「事の次第 / THE WAY THINGS GO」に置き換えてもいいだろう。
両者の違いは、カメラの数の違いに違いがある。「事の次第」は一台のカメラによる、ワンシークエンスで成立する。一方、ドミノ倒しは複数台のカメラがないと番組は成立しない。言い換えると、「事の次第」にはワイプは必要ないが、ドミノ倒しは本流と支流があるため、ワイプが不可欠である。さらに言い換えると、「事の次第」は「倒れるもの」と「倒されるもの」の間に生まれる種々の関係性に興味の力点があるが、ドミノ倒しは結局のところドミノが倒れていくだけなので、ドミノによって何が描かれるのか、に僕らの興味は注がれる、とも言える。
いずれにせよ、ただ物が倒れていく様子の中に、スペクタクルやサスペンスがあることがおもしろい。物が倒れていくことで生み出される「流れ」があり、僕らはこの流れの中に、ある種の物語を読み取っているのだろう。それがときに、精巧に編まれたプロットや、丁寧に張り巡らせられた伏線のある物語を超える興奮を生み出している。
ドミノ型 / 事の次第型
物が作り出す流れを、物の意思とは無関係に、人間が物語に読み替えた時に生まれるもの。それを建築ではシークエンスという言葉で表現しているのだろう。仮に建築物を、「シークエンスを生み出す装置」と捉えるならば、多くの建築は「ドミノ型」と「『事の次第』型」に大別できるかもしれない(ひどく大雑把な分類であるし、このどちらにも属さない建築物もあるが)。
「事の次第」は青木淳や西澤徹夫によってたびたび引き合いに出されるから、僕らにとっては馴染みが深く、理解しやすいだろう。
西澤が「西宮の場合」の解説に寄せた言葉を借りるなら、
「『事の次第』では、さまざまな日用品が巨大なアトリエに集められていた。それらの間には、さほど厳密ではない結びつきで、というのは、同じような機能を果たすものであればいくらでも交換可能であるというような、あるいはまったく同じモノを使っても幾通りもの並びが可能な程度に、隣接関係で起こるコトのレイアウトがなされいた」※1
「事の次第」型の建築物の特徴は、シークエンスを形づくるさまざまな物は代替可能である、という点に特徴がある。物の関係によって「流れ」がつくりだされるのだが、物は必ずしもそれでなくても構わず、しかしやっぱり選択した物によって大きな流れができている、という、単純明快とは異なるけれども、仕組みは簡単で、しかしなんとも言語化の難しい建築のつくりかた。これが「事の次第」型であるとしてみよう。
一方のドミノ型はふたつに分けられる。ひとつは、単一の構成要素で強い図式をつくる建築物。これは、ドミノをひたすら倒し続けどこまで倒れていくのか、その飛距離を競うというドミノ倒しの特徴をそのまま建築にあてはめても成立する建築物である。いわゆるモダニズム建築や、初期のSANAAの建築物などがこれにあてはまるだろう。
ドミノがどこまで倒れていくのか、その持続力や飛距離が僕らの興味を惹きつけるように、限られた要素をひたすらドライブさせていくことで豊かな空間がつくられる。そのシンプルと空間の豊かさのギャップが僕らに興味を抱かせる。これらの特徴をもつドミノ型建築物を「単純ドミノ型」と呼ぶこととしよう。
楢山の別邸 / ドミノ
楢山の別邸が、「事の次第」型かドミノ倒し型かと問われれば、僕は後者だと思う。要素は限られているし、箱をばらまいて曲線でつなぐという図式も楢山の別邸では徹底されている。では、楢山の別邸は「単純ドミノ型」にあてはまるのだろうか。
実際に建築物を訪れてみると、写真の印象と実物の印象が異なることがある※2。こと楢山の別邸は写真と実物のギャップが大きいと僕は感じた※3。
楢山の別邸の平面図を注意深く見てみると、ばらまいた箱の形のバリエーションの多さに気づく。二つの寝室は大きさの異なる正方形、リビングは長方形、ダイニングキッチンは角をまるめた長方形、バスルームは正方形の中に不定形な曲線が入り込む。箱だけではない。階段室は円、中庭は三角形、外部との境界線は直線と曲線が混在する。
箱をばらまいて、曲線でつなぐという手続き自体はとてもシンプルだが、その結果生まれた幾何学は実に多様で、おおよそ思いつく限りの幾何学形態がひとつの住宅の中に混在している※4。加えて、幾何学の境界線がガラス張りとなっているため、写真では部屋のエッジが捉えにくい。
ひとつの箱に、ひとつの機能というルールは徹底されているにもかかわらず、どこまでがひとつの部屋か判別がつきにくい。これらの理由が、楢山の別邸を写真で捉えにくくしているのだろう。
第二のドミノ
「単純ドミノ型」の建築物は、実際に訪れてみて、シンプルながら空間が豊かなことに驚きこそすれ、図式や構成要素は写真のイメージと一致することが多い。それと比較するとどうやら、楢山の別邸は、ドミノ型のもうひとつの形式だと言えそうだ。
限られた要素で、単一の図式で成り立つという意味ではひとつめの「単純ドミノ型」と同じ。しかし、楢山の別邸は冒頭で見た「ドミノ倒しの番組」のように、複数のカメラをひとつの画面にあつめることではじめて、その全貌が明らかになる。これを「ドミノ倒し番組型」とでも名付けてみよう。
楢山の別邸の、ひとつひとつのガラスの箱が、ドミノ倒しの番組でいう富士山や顔といった支流にあたるとしてみよう。支流とは別に、ひたすらドミノが倒れ続けていくような流れが、楢山の別邸には流れている。建物全体を形作る曲線の動線が、ドミノが倒れていく様と一致する。これを本流と呼ぼう。
実際に楢山の別邸を訪れると、視野の中に支流と本流が入り乱れていく感覚がある。たとえば、寝室にいながら先ほどまで居たリビングの光景が頭に残り、と同時にリビングから寝室まで歩いてきた経路が頭を横切る。寝室の外に広がる庭に目をやりながら、同時にピロティの下の剥き出しの地面を思いつつ、先ほど歩いたダイニングキッチンが目に入る。
ドミノが倒れて富士山が現れてくる様を見ながら、ワイプで小さくなった画面に映る、本流のひたすら倒れていくドミノが気になる、そういった感覚に極めて似ていると感じる。
支流と本流を別々のカメラに収め(ここでのカメラは自分の目だ)、頭の中でワイプに切り分け、それらを一画面に編集しなおすことではじめて、この建築物は理解できるのだろう。視覚だけではない。複数の時間を頭の中で切り貼りし、いくつもの空間をひとつの時間の中にレイアウトし直すことで、楢山の別邸ははじめて成立する。
写真を一枚一枚、精巧に読み込んだところで、楢山の別邸はいつまでたっても立ち上がらない。図面と写真を交互に眺めながら、本流と支流を見極め、頭の中にワイプをいくつも作り出し、一気にすべての再生ボタンを押して見ないことには、この住宅の空間は掴めないのだろう。
「事の次第」とふたつのドミノ
話がやや複雑になった。ここまでをまとめよう。
ドミノにせよ「事の次第」にせよ、物の意思とは無関係に、僕らは物が織りなす流れを勝手に物語と読み替える。物語と読み替えることで、そこにカタルシスやスペクタクルを見出すことができる。物が織りなす流れを勝手に物語に読み替える、という行為は建築物を読み解くことにも敷衍でき、僕らはこの行為に「シークエンス」という名前をつけている。シークエンスという言葉をもう少し精緻に観察すると、ここではそれが大きくふたつに分かれる。
ひとつは「事の次第」型。複数の物が建築物の中に登場し、物と物の関係性を物語とみなすことで、物の寄せ集めでしかない建築物に意味をつけていく。作り手ではない僕らは、作り手の用意した関係性をつぶさに読み解くことで、その建築物を物語化(ひとつながりのシークエンス)することができる。
もうひとつはドミノ倒し型。ドミノ倒しのように、建築物を構成する要素は極めて少ない。しかし、極限まで絞り込まれた要素が思いがけず豊かな空間を作り出すとき、シンプルさと豊かさのギャップに驚かされる。僕らはそのギャップにひたすら驚嘆しながら、建物を後にする。ここでも物の意思とは無関係に、流れを物語だと読み違えるからこそ、ギャップは生まれ、それに驚嘆するのだろう。
ドミノ倒し型はさらにふたつに分けることができる。ひとつは「単純ドミノ倒し型」。徹底的に要素を絞り込み、シンプルさと豊かさのギャップを最大化することを狙った建築物が、この型にあてはまる。ここでもシークエンスはひとつに絞ることができる。もうひとつが、「ドミノ倒し番組型」で、楢山の別邸はこちらに属している。
構成要素は極めてシンプルながら、建築物を構成する幾何学が複雑で、どこまでがひとつの部屋なのかが判別しにくい。そのため、写真一枚一枚を頭の中でつないで動画にすることが難しく、空間の全容が把握しづらいという特徴をもつ。頭の中にいくつものワイプを作り出し、それを一気に再生させることで、はじめて全容が浮かび上がる、そのような建築物である。
楢山の別邸を訪れた。初夏の秋田、五月晴れ、北日本らしい涼しさ。僕の中の、楢山の別邸は、初夏のシーンをいくつものワイプに分けて、一気に再生させただけにすぎない。どの建築物も季節ごとにその表情を変えていくが、とりわけ、楢山の別邸には、色々なワイプが必要なのだろう。
これは、初夏の秋田、五月晴れ、北日本らしい涼しさにおける、楢山の別邸に関する断片的な報告書である。
※1 新建築住宅特集 2016年11月号 59P
※2 たとえば、カルロ・スカルパの「ブリオン・ヴェガの墓地」は、写真と実物のギャップが大きい建築物だと言われることが多い。一例として堀部安嗣が『建築を気持ちで考える』で同様の指摘をしている。堀部安嗣『建築を気持ちで考える』TOTO出版,2017 114P
※3 ここでいう写真とは、『新建築住宅特集 2021年2月号』16P-25Pに掲載された楠瀬友将が撮影した写真のことをさす。
※4 多種多様な幾何学が混在する、という特徴は、先述の「ブリオン・ヴェガの墓地」と共通した特徴だ。多種多様な幾何学が混在することと写真と実物のギャップが大きいことを証明するにはサンプル数が足りないことは承知だが、後述するアルヴァロ・シザの建築にもこの特徴は当てはまる。
■建築概要
建物名称:楢山の別邸
所在地:秋田県秋田市
主要用途:専用住宅、茶室
家族構成:夫婦
設計:工藤浩平建築設計事務所 担当/工藤浩平、小黒日香理(元所員)
施工:住建トレーディング
構造:平岩構造計画 担当/平岩良之、國江悠介
主体構造・構法:鉄筋コンクリート造一部鉄骨造、木造
階数:地下1階 地上1階
高さ:軒高5,652mm、最高の高さ6,850mm
敷地面積:958.94㎡
建築面積:326.85㎡(建蔽率60% 許容34.89%)
延床面積:397.55㎡(容積率200% 許容41.46%)
地階面積:78.22㎡
1階面積:319.33㎡
設計期間:2018年1月~2019年10月
工事期間:2019年11月~2020年11月
写真:楠瀬友将、竹内吉彦、中村絵
建材情報種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) | 外装・屋根 | 屋根 | FRP塗膜防水(双和科学産業)
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外装・壁 | 外壁 | RC打放し
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外装・建具 | 各居室 開口部 | ステンレスサッシ
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外装・その他 | 外部階段 | スチール製作
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内装・床 | 各居室 床 | セラミックタイル(ダイナワン)
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内装・壁 | 壁 | EP塗装
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内装・天井 | 天井 | EP塗装
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内装・キッチン | キッチン | 造作
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