新居千秋都市建築設計による、千葉の「流山市立南流山地域図書館・児童センター」。約3000㎡の滞在型複合施設。様々な規制や厳しい与件の下でも、“身体性”を大切にした“五感”に訴えかける建築を志向。寸法と素材にこだわり設計と選定した家具を用いて限られた空間の中に様々な居場所を作る南東側外観 photo©彦坂武徳
新居千秋都市建築設計による、千葉の「流山市立南流山地域図書館・児童センター」。約3000㎡の滞在型複合施設。様々な規制や厳しい与件の下でも、“身体性”を大切にした“五感”に訴えかける建築を志向。寸法と素材にこだわり設計と選定した家具を用いて限られた空間の中に様々な居場所を作る1階、ブラウジングスペース photo©彦坂武徳
新居千秋都市建築設計による、千葉の「流山市立南流山地域図書館・児童センター」。約3000㎡の滞在型複合施設。様々な規制や厳しい与件の下でも、“身体性”を大切にした“五感”に訴えかける建築を志向。寸法と素材にこだわり設計と選定した家具を用いて限られた空間の中に様々な居場所を作る3階、おはなしのへや photo©彦坂武徳
新居千秋都市建築設計による、千葉の「流山市立南流山地域図書館・児童センター」。約3000㎡の滞在型複合施設。様々な規制や厳しい与件の下でも、“身体性”を大切にした“五感”に訴えかける建築を志向。寸法と素材にこだわり設計と選定した家具を用いて限られた空間の中に様々な居場所を作る3階、体育室 photo©彦坂武徳
新居千秋都市建築設計 / 新居千秋+村瀬慶彦+上田晃平が設計した、千葉の「流山市立南流山地域図書館・児童センター」です。
約3000㎡の滞在型複合施設です。建築家は、様々な規制や厳しい与件の下でも、“身体性”を大切にした“五感”に訴えかける建築を志向しました。そして、寸法と素材にこだわり設計と選定した家具を用いて限られた空間の中に様々な居場所を作りました。施設の公式サイトはこちら。
南流山地域図書館・児童センターは12.5万冊の図書館と児童センター、カフェを中心とした約3000㎡の滞在型複合施設です。
極小、極細、日影、斜線制限、ローコストの中で、無味無臭でジェネリックなものではない、1つ1つのRoom「部屋」の身体性=Somestheticを大切にし、五感(視覚・触覚・聴覚・嗅覚・味覚)にうったえかける建築をつくりました。
私たちは例えば「四角い」建築であっても、小さく細長かったり変形していたり条件の悪い敷地でも、なるべく外形を削って、建築ヴォリュームをコンパクトにします。コスト的にもメリットがあり、隣接する敷地に対して、両者の間に少しでも良い環境をつくり出すことができるからです。さらに、内外ともに身体寸法ギリギリに考えていきます。その結果生まれる、極めつきのローコスト建築のかたまりを、内部の色々な所から掘っていきます。
このような建築は、バランスを崩すと制約がそのまま形になった普通のものになってしまい、形=外観にしていくのが難しいです。彫刻と同じで、失敗すると元に戻すことができない緊張感もあります。それでも結果として、安易に真似のできない、その場所で求められていた、そこでしかできない人の居場所が生まれると思っています。
極小敷地であるため、例えば書架や椅子をメーカー製品としてしまうと、内部の空間が狭くなったり必要な内寸が確保出来なくなる為、利用者及び運営者の使い勝手に配慮しつつ、本施設に合った適切な寸法の家具を設計しました。備品についても細かな寸法まで確認し、実際の製品に触れ、重さを確かめたりしながら丁寧に選定し、機能性を担保しながら、それぞれの場所に適切に配置し特性を与えることで多様な居場所を創出しています。
以下の写真はクリックで拡大します
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新居千秋都市建築設計による、千葉の「流山市立南流山地域図書館・児童センター」。約3000㎡の滞在型複合施設。様々な規制や厳しい与件の下でも、“身体性”を大切にした“五感”に訴えかける建築を志向。寸法と素材にこだわり設計と選定した家具を用いて限られた空間の中に様々な居場所を作る南側外観 photo©彦坂武徳
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新居千秋都市建築設計による、千葉の「流山市立南流山地域図書館・児童センター」。約3000㎡の滞在型複合施設。様々な規制や厳しい与件の下でも、“身体性”を大切にした“五感”に訴えかける建築を志向。寸法と素材にこだわり設計と選定した家具を用いて限られた空間の中に様々な居場所を作る南東側外観 photo©彦坂武徳
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新居千秋都市建築設計による、千葉の「流山市立南流山地域図書館・児童センター」。約3000㎡の滞在型複合施設。様々な規制や厳しい与件の下でも、“身体性”を大切にした“五感”に訴えかける建築を志向。寸法と素材にこだわり設計と選定した家具を用いて限られた空間の中に様々な居場所を作る北東側外観 photo©彦坂武徳
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新居千秋都市建築設計による、千葉の「流山市立南流山地域図書館・児童センター」。約3000㎡の滞在型複合施設。様々な規制や厳しい与件の下でも、“身体性”を大切にした“五感”に訴えかける建築を志向。寸法と素材にこだわり設計と選定した家具を用いて限られた空間の中に様々な居場所を作る1階、ラウンジ photo©彦坂武徳
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新居千秋都市建築設計による、千葉の「流山市立南流山地域図書館・児童センター」。約3000㎡の滞在型複合施設。様々な規制や厳しい与件の下でも、“身体性”を大切にした“五感”に訴えかける建築を志向。寸法と素材にこだわり設計と選定した家具を用いて限られた空間の中に様々な居場所を作る1階、左:ラウンジ、右:多目的ラウンジ photo©彦坂武徳
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新居千秋都市建築設計による、千葉の「流山市立南流山地域図書館・児童センター」。約3000㎡の滞在型複合施設。様々な規制や厳しい与件の下でも、“身体性”を大切にした“五感”に訴えかける建築を志向。寸法と素材にこだわり設計と選定した家具を用いて限られた空間の中に様々な居場所を作る1階、多目的ラウンジ(一般開放の状態) photo©彦坂武徳
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新居千秋都市建築設計による、千葉の「流山市立南流山地域図書館・児童センター」。約3000㎡の滞在型複合施設。様々な規制や厳しい与件の下でも、“身体性”を大切にした“五感”に訴えかける建築を志向。寸法と素材にこだわり設計と選定した家具を用いて限られた空間の中に様々な居場所を作る1階、多目的ラウンジ(家具のない状態) photo©彦坂武徳
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新居千秋都市建築設計による、千葉の「流山市立南流山地域図書館・児童センター」。約3000㎡の滞在型複合施設。様々な規制や厳しい与件の下でも、“身体性”を大切にした“五感”に訴えかける建築を志向。寸法と素材にこだわり設計と選定した家具を用いて限られた空間の中に様々な居場所を作る1階、多目的ラウンジ(パネルを立てた状態) photo©彦坂武徳
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新居千秋都市建築設計による、千葉の「流山市立南流山地域図書館・児童センター」。約3000㎡の滞在型複合施設。様々な規制や厳しい与件の下でも、“身体性”を大切にした“五感”に訴えかける建築を志向。寸法と素材にこだわり設計と選定した家具を用いて限られた空間の中に様々な居場所を作る1階、ブラウジングスペース photo©彦坂武徳
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新居千秋都市建築設計による、千葉の「流山市立南流山地域図書館・児童センター」。約3000㎡の滞在型複合施設。様々な規制や厳しい与件の下でも、“身体性”を大切にした“五感”に訴えかける建築を志向。寸法と素材にこだわり設計と選定した家具を用いて限られた空間の中に様々な居場所を作る1階、カフェ photo©彦坂武徳
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新居千秋都市建築設計による、千葉の「流山市立南流山地域図書館・児童センター」。約3000㎡の滞在型複合施設。様々な規制や厳しい与件の下でも、“身体性”を大切にした“五感”に訴えかける建築を志向。寸法と素材にこだわり設計と選定した家具を用いて限られた空間の中に様々な居場所を作る2階、吹抜から1階のカフェが見える。 photo©彦坂武徳
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新居千秋都市建築設計による、千葉の「流山市立南流山地域図書館・児童センター」。約3000㎡の滞在型複合施設。様々な規制や厳しい与件の下でも、“身体性”を大切にした“五感”に訴えかける建築を志向。寸法と素材にこだわり設計と選定した家具を用いて限られた空間の中に様々な居場所を作る2階、会議室 photo©彦坂武徳
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新居千秋都市建築設計による、千葉の「流山市立南流山地域図書館・児童センター」。約3000㎡の滞在型複合施設。様々な規制や厳しい与件の下でも、“身体性”を大切にした“五感”に訴えかける建築を志向。寸法と素材にこだわり設計と選定した家具を用いて限られた空間の中に様々な居場所を作る2階、調理活動室 photo©彦坂武徳
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新居千秋都市建築設計による、千葉の「流山市立南流山地域図書館・児童センター」。約3000㎡の滞在型複合施設。様々な規制や厳しい与件の下でも、“身体性”を大切にした“五感”に訴えかける建築を志向。寸法と素材にこだわり設計と選定した家具を用いて限られた空間の中に様々な居場所を作る2階、工作室 photo©彦坂武徳
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新居千秋都市建築設計による、千葉の「流山市立南流山地域図書館・児童センター」。約3000㎡の滞在型複合施設。様々な規制や厳しい与件の下でも、“身体性”を大切にした“五感”に訴えかける建築を志向。寸法と素材にこだわり設計と選定した家具を用いて限られた空間の中に様々な居場所を作る2階、遊戯室 photo©彦坂武徳
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新居千秋都市建築設計による、千葉の「流山市立南流山地域図書館・児童センター」。約3000㎡の滞在型複合施設。様々な規制や厳しい与件の下でも、“身体性”を大切にした“五感”に訴えかける建築を志向。寸法と素材にこだわり設計と選定した家具を用いて限られた空間の中に様々な居場所を作る3階、こどものほんのへや photo©彦坂武徳
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新居千秋都市建築設計による、千葉の「流山市立南流山地域図書館・児童センター」。約3000㎡の滞在型複合施設。様々な規制や厳しい与件の下でも、“身体性”を大切にした“五感”に訴えかける建築を志向。寸法と素材にこだわり設計と選定した家具を用いて限られた空間の中に様々な居場所を作る3階、こどものほんのへや photo©彦坂武徳
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新居千秋都市建築設計による、千葉の「流山市立南流山地域図書館・児童センター」。約3000㎡の滞在型複合施設。様々な規制や厳しい与件の下でも、“身体性”を大切にした“五感”に訴えかける建築を志向。寸法と素材にこだわり設計と選定した家具を用いて限られた空間の中に様々な居場所を作る3階、おはなしのへや photo©彦坂武徳
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新居千秋都市建築設計による、千葉の「流山市立南流山地域図書館・児童センター」。約3000㎡の滞在型複合施設。様々な規制や厳しい与件の下でも、“身体性”を大切にした“五感”に訴えかける建築を志向。寸法と素材にこだわり設計と選定した家具を用いて限られた空間の中に様々な居場所を作る3階、おはなしのへや photo©彦坂武徳
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新居千秋都市建築設計による、千葉の「流山市立南流山地域図書館・児童センター」。約3000㎡の滞在型複合施設。様々な規制や厳しい与件の下でも、“身体性”を大切にした“五感”に訴えかける建築を志向。寸法と素材にこだわり設計と選定した家具を用いて限られた空間の中に様々な居場所を作る3階、体育室 photo©彦坂武徳
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新居千秋都市建築設計による、千葉の「流山市立南流山地域図書館・児童センター」。約3000㎡の滞在型複合施設。様々な規制や厳しい与件の下でも、“身体性”を大切にした“五感”に訴えかける建築を志向。寸法と素材にこだわり設計と選定した家具を用いて限られた空間の中に様々な居場所を作る4階、一般図書コーナーのカウンター photo©彦坂武徳
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新居千秋都市建築設計による、千葉の「流山市立南流山地域図書館・児童センター」。約3000㎡の滞在型複合施設。様々な規制や厳しい与件の下でも、“身体性”を大切にした“五感”に訴えかける建築を志向。寸法と素材にこだわり設計と選定した家具を用いて限られた空間の中に様々な居場所を作る4階、一般図書コーナーのカウンター席 photo©彦坂武徳
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新居千秋都市建築設計による、千葉の「流山市立南流山地域図書館・児童センター」。約3000㎡の滞在型複合施設。様々な規制や厳しい与件の下でも、“身体性”を大切にした“五感”に訴えかける建築を志向。寸法と素材にこだわり設計と選定した家具を用いて限られた空間の中に様々な居場所を作る4階、一般図書コーナーのカウンター席(ルーバーが閉まっている状態) photo©彦坂武徳
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新居千秋都市建築設計による、千葉の「流山市立南流山地域図書館・児童センター」。約3000㎡の滞在型複合施設。様々な規制や厳しい与件の下でも、“身体性”を大切にした“五感”に訴えかける建築を志向。寸法と素材にこだわり設計と選定した家具を用いて限られた空間の中に様々な居場所を作る4階、参考図書コーナー photo©彦坂武徳
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新居千秋都市建築設計による、千葉の「流山市立南流山地域図書館・児童センター」。約3000㎡の滞在型複合施設。様々な規制や厳しい与件の下でも、“身体性”を大切にした“五感”に訴えかける建築を志向。寸法と素材にこだわり設計と選定した家具を用いて限られた空間の中に様々な居場所を作る外観、夜景 photo©彦坂武徳
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新居千秋都市建築設計による、千葉の「流山市立南流山地域図書館・児童センター」。約3000㎡の滞在型複合施設。様々な規制や厳しい与件の下でも、“身体性”を大切にした“五感”に訴えかける建築を志向。寸法と素材にこだわり設計と選定した家具を用いて限られた空間の中に様々な居場所を作る外観、夜景 photo©彦坂武徳
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新居千秋都市建築設計による、千葉の「流山市立南流山地域図書館・児童センター」。約3000㎡の滞在型複合施設。様々な規制や厳しい与件の下でも、“身体性”を大切にした“五感”に訴えかける建築を志向。寸法と素材にこだわり設計と選定した家具を用いて限られた空間の中に様々な居場所を作る1階平面図 image©新居千秋
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新居千秋都市建築設計による、千葉の「流山市立南流山地域図書館・児童センター」。約3000㎡の滞在型複合施設。様々な規制や厳しい与件の下でも、“身体性”を大切にした“五感”に訴えかける建築を志向。寸法と素材にこだわり設計と選定した家具を用いて限られた空間の中に様々な居場所を作る2階平面図 image©新居千秋
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新居千秋都市建築設計による、千葉の「流山市立南流山地域図書館・児童センター」。約3000㎡の滞在型複合施設。様々な規制や厳しい与件の下でも、“身体性”を大切にした“五感”に訴えかける建築を志向。寸法と素材にこだわり設計と選定した家具を用いて限られた空間の中に様々な居場所を作る3階平面図 image©新居千秋
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新居千秋都市建築設計による、千葉の「流山市立南流山地域図書館・児童センター」。約3000㎡の滞在型複合施設。様々な規制や厳しい与件の下でも、“身体性”を大切にした“五感”に訴えかける建築を志向。寸法と素材にこだわり設計と選定した家具を用いて限られた空間の中に様々な居場所を作る4階平面図 image©新居千秋
以下、建築家によるテキストです。
五感と身体的な感覚に迫る建築
南流山地域図書館・児童センターは12.5万冊の図書館と児童センター、カフェを中心とした約3000㎡の滞在型複合施設です。
極小、極細、日影、斜線制限、ローコストの中で、無味無臭でジェネリックなものではない、1つ1つのRoom「部屋」の身体性=Somestheticを大切にし、五感(視覚・触覚・聴覚・嗅覚・味覚)にうったえかける建築をつくりました。
身体性=Somesthetic
私たちは例えば「四角い」建築であっても、小さく細長かったり変形していたり条件の悪い敷地でも、なるべく外形を削って、建築ヴォリュームをコンパクトにします。コスト的にもメリットがあり、隣接する敷地に対して、両者の間に少しでも良い環境をつくり出すことができるからです。さらに、内外ともに身体寸法ギリギリに考えていきます。その結果生まれる、極めつきのローコスト建築のかたまりを、内部の色々な所から掘っていきます。
このような建築は、バランスを崩すと制約がそのまま形になった普通のものになってしまい、形=外観にしていくのが難しいです。彫刻と同じで、失敗すると元に戻すことができない緊張感もあります。それでも結果として、安易に真似のできない、その場所で求められていた、そこでしかできない人の居場所が生まれると思っています。
触覚
子どもたちや多くの人が手で触れる箇所は温かみのあるテクスチャ(木製・布)とし、書架や机、椅子など全て設計、選定しました。椅子の座面やカーペットについてもお尻や足裏から感じる触覚を大事に選定しました。
聴覚
子どもたちの遊ぶ声と本を静かに読む環境を極小敷地の建物で成立させることが必要不可欠でした。遮音が必要な箇所は徹底的に検討し、騒音問題が起きないように努めましたが、ブラウジングやカフェ、多目的ラウンジは多少のざわめき(会話や子供たちの声、公園からの声)を肯定的に捉え、1.2階を繋ぐ吹き抜けを極小でも設けることで、街と人と聴覚でもつながった空間を整えました。
嗅覚
1階に配置されたカフェから漂ってくるコーヒーやパンの匂いを肯定的に捉え、風の流れに配慮しつつ、極小の吹き抜けを通じ、施設内に良いにおいが漂っていくことで、嗅覚にも良い心地よさを与える居場所をつくりました。
味覚
1階のカフェは有名チェーン店ではなく、コーヒー・紅茶各200円のほか、ホットドッグ350円などの軽食を安い値段で提供する「ヨミ・アソビ・カフェ」が運営しています。ドリンクは、環境に配慮した素材のテイクアウトカップで提供されており、飲み物を飲みながらも本を読める図書館となっています。
視覚
極細の敷地で多様なプログラムが要求されていましたが、建物のどの場所でも視線が抜けて、見通せるように平面計画を行いました。子ども達がいる場所は明るい色とし、一般開架やブラウジングの静かな場所には暗めの色を使用することで、機能ごとに具の色味を微調整しました。
外観
18m×90mという細長い極小敷地で緑化面積や駐車場・駐輪場などの外構条件から、建物の建築範囲が14m×60mと細長くなりました。日影を考慮し建物西側をこう配屋根とする断面計画とし、ローコストに抑える為に階高をギリギリまで抑え、杭基礎を最小限とするため、建物の南北の先端をキャンチで計画しました。また、立面も既成サッシの組み合わせや打継目地でデザインし、独特な外観を持つ建物となりました。
内部空間
私たちは身体性にこだわって設計をしています。本施設のように幅が14mと狭い建物だと通常は片廊下型になりやすい傾向があります。しかし、私たちは「Somesthetic=身体性」の考えから内寸を大切にして、各機能の適切な寸法を確保し、各機能を雁行配置とすることで、奥行きがあり視線が斜めに抜けていくことで広がりや快適性を感じられるような空間としました。
建物構成は1階を地域に開かれたフロアとし、カフェ及びブラウジング、多目的ラウンジを配置。2階に児童センターと子育て世代活動支援センター機能を集約しました。3階には児童開架及び児童センター機能の体育室を配置し、音の出る体育室については階段やトイレなどのコアを挟んだ図書館の反対側に配置することで騒音に配慮しました。4階は一般開架とし、静かに集中して読書ができる環境を整えました。
体育室は木々に囲われたイメージから、壁・天井をリブ(=木の幹 ・枝)とし、リブの間に木の葉をイメージした色を塗装しました。また音響にも配慮し、径の異なる有効板を一定のパタンで千鳥状に設置することで、音楽コンサートも開催できる場所となりました。穴の開け方、配置の仕方、リブとの関係をシミュレーションして部材数を削減しながら壁面のパタンを決めました。放課後子供たちがドッチボールやバスケ等で遊び、非常に賑わう居場所となっています。
児童開架は子どもに合った家具を設計し配置しました。お話室には洞状の空間と読み聞かせ時に座れる階段が組み合わさったような家具を配置し、子供たちの人気の居場所になっています。お話室の一部が洞状の空間となっている為、職員が常に子供たちの行動を把握出来るように、常駐する貸出カウンターをお話室に隣接して配置しています。
一般開架は建物西側が日影規制により削られ、傾斜のある天井となっています。そこにカウンター席を設け、各席の頭上に既製品の手動木製ルーバを造り付け、自由に光を調節し本を読める居場所としました。既製品でも本体家具工事と調整し取り合い部分を丁寧に設計することで、空間の向上に寄与する既製品の使い方を目指しました。
ローコスト施設の場合、天井の仕上げ材を石膏ボードとし、空調を天井カセットとする事例が多くみられます。本計画でも同様の仕様としていますが、天井カセットを天井ラインより30mm面落ちさせ、天井カセットの出っ張りが目立たないようにしたり、石膏ボードの上にケイ酸カルシウム板8mmを貼って、各階で異なる天井のパタンとすることで、ローコストに抑えながらもそれぞれの場所の特徴がでるようにしました。
家具・備品の検討
極小敷地であるため、例えば書架や椅子をメーカー製品としてしまうと、内部の空間が狭くなったり必要な内寸が確保出来なくなる為、利用者及び運営者の使い勝手に配慮しつつ、本施設に合った適切な寸法の家具を設計しました。備品についても細かな寸法まで確認し、実際の製品に触れ、重さを確かめたりしながら丁寧に選定し、機能性を担保しながら、それぞれの場所に適切に配置し特性を与えることで多様な居場所を創出しています。
■建築概要
名称:流山市立南流山地域図書館・児童センター
所在地:千葉県流山市流山2539-1
建築主:流山市
用途:図書館、児童センター、カフェ、駐車場、自転車駐車場
建築設計・監理:新居千秋都市建築設計 担当:新居千秋、村瀬慶彦、上田晃平
構造:メイホウ・オンスタジオ・アソシエイツ 担当:下久保亘
施工:橋本組・サンコーテクノ特定建設工事共同企業体
用途:第一種中高層住居専用地域
道路幅員:東16.0m(第42条第一項第一号道路)
主体構造:鉄筋コンクリート造一部鉄骨造
杭・基礎:杭基礎
敷地面積:1874.30m2
建築面積:859.50m2
延床面積:2952.29m2
建蔽率:45.85%(許容 60%)
容積率:157.51%(許容 200%)
各階床面積:1階 777.57㎡、2階 784.24㎡、3階 862.70㎡、4階 517.35㎡、R階 10.43㎡
階数:地上4階搭屋1階
階高/天井高: 1階 3.7m/2.3m、2.6m 2階 3.7m/2.6m、3階 3.7m/2.6m、5.95m、4階 3.85m/2.6m
最高軒高/最高高さ:14,880m/15.665m
駐車台数:15台
設計期間:2019年11月~2020年12月
施工期間:2020年12月~2022年9月
写真:彦坂武徳
建材情報種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) | 外装・屋根 | 屋根 | アスファルト防水3層
ポリスチレンフォーム
押さえコンクリートの上コンクリート金ゴテ
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外装・壁 | 外壁 | コンクリート打ち放しの上フッ素樹脂クリア塗装
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外装・建具 | 開口部 | アルミサッシ
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内装・床 | エントランスホール 床 | 石貼り [海波花ジェットバーナー]
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内装・床 | 児童閲覧スペース・一般図書スペース 床 | タイルカーペット
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内装・床 | 多目的ラウンジ 床 | チーク縁甲板t=15mm 着色ウレタンCL塗装
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内装・壁 | エントランスホール 壁 | 石膏ボード クロス貼りの上EP塗装
コンクリート化粧打放し一部シナ練付合板
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内装・壁 | 壁 | 石膏ボード クロス貼りの上EP塗装
コンクリート化粧打放し
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内装・天井 | 天井 | 石膏ボード+ケイカル板の上EP塗装 デザイン貼り
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内装・天井 | 多目的ラウンジ 天井 | アルミメッシュ天井 [艶消し黒色EP塗装]
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