山之内淡 / AWGLによる、神奈川・鎌倉市の「A Cat Tree House」。“愛猫”を施主に見立て設計した自邸兼アトリエ。全体を“キャットツリー”とする方針を立て、二層吹抜のリビングを“猫の身体寸法”に合わせた階段で取囲む構成を考案。猫と人の其々の言葉が混ざり合う建築を作る俯瞰 photo©Lamberto Rubino
山之内淡 / AWGLによる、神奈川・鎌倉市の「A Cat Tree House」。“愛猫”を施主に見立て設計した自邸兼アトリエ。全体を“キャットツリー”とする方針を立て、二層吹抜のリビングを“猫の身体寸法”に合わせた階段で取囲む構成を考案。猫と人の其々の言葉が混ざり合う建築を作る1階から2階への階段、正面にあるのは書庫。 photo©Lamberto Rubino
山之内淡 / AWGLが設計した、神奈川・鎌倉市の「A Cat Tree House」です。
“愛猫”を施主に見立て設計した自邸兼アトリエです。建築家は、全体を“キャットツリー”とする方針を立て、二層吹抜のリビングを“猫の身体寸法”に合わせた階段で取囲む構成を考案しました。そして、猫と人の其々の言葉が混ざり合う建築を作る事が意図されました。
東京都心から約1時間。歴史が深く緑豊かな鎌倉の敷地に立つ設計者の自邸兼アトリエの計画。
暮らすのは30代の夫婦と2匹の猫である。猫にとって、家は世界だと思う。愛猫から家のあり方を学びたいと考え、“2匹の愛猫”を“2人の施主”に見立てた。
猫たちからの要望の1つ目はその日その時間で“好みの温度の層”を選べること。2つ目は“付かず離れずの距離感”で家族と同じ空間に居られること。3つ目は“安全な居場所”を複数持ち四季に合わせて移動することだった。
私たちはまず家全体を1つの大きなキャットツリーとして設計する方針を定めた。
天窓のある吹抜空間を中心に螺旋状に階段が取り囲む計画とし、階段の踏面・蹴上寸法を猫の身体寸法に合わせて設計した。家全体が細かな(23のレベルの)“温度の層”のストライプに分けられ、どこに居ても違和感なく視線が通るよう工夫した。
階段の南側と西側には壁一面に本棚を配置した。私たち人間にとっては階段状の書庫となり猫たちにとっては十分な大きさのベッドとなる。階段の構造は日本伝統の南京玉すだれからヒントを得たキャンチレバー構造で設計し、構造をそのまま現し仕上げとして空間にアクセントを加えている。
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山之内淡 / AWGLによる、神奈川・鎌倉市の「A Cat Tree House」。“愛猫”を施主に見立て設計した自邸兼アトリエ。全体を“キャットツリー”とする方針を立て、二層吹抜のリビングを“猫の身体寸法”に合わせた階段で取囲む構成を考案。猫と人の其々の言葉が混ざり合う建築を作る俯瞰 photo©Lamberto Rubino
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山之内淡 / AWGLによる、神奈川・鎌倉市の「A Cat Tree House」。“愛猫”を施主に見立て設計した自邸兼アトリエ。全体を“キャットツリー”とする方針を立て、二層吹抜のリビングを“猫の身体寸法”に合わせた階段で取囲む構成を考案。猫と人の其々の言葉が混ざり合う建築を作る俯瞰 photo©Lamberto Rubino
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山之内淡 / AWGLによる、神奈川・鎌倉市の「A Cat Tree House」。“愛猫”を施主に見立て設計した自邸兼アトリエ。全体を“キャットツリー”とする方針を立て、二層吹抜のリビングを“猫の身体寸法”に合わせた階段で取囲む構成を考案。猫と人の其々の言葉が混ざり合う建築を作る外観 photo©Lamberto Rubino
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山之内淡 / AWGLによる、神奈川・鎌倉市の「A Cat Tree House」。“愛猫”を施主に見立て設計した自邸兼アトリエ。全体を“キャットツリー”とする方針を立て、二層吹抜のリビングを“猫の身体寸法”に合わせた階段で取囲む構成を考案。猫と人の其々の言葉が混ざり合う建築を作る外観 photo©Lamberto Rubino
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山之内淡 / AWGLによる、神奈川・鎌倉市の「A Cat Tree House」。“愛猫”を施主に見立て設計した自邸兼アトリエ。全体を“キャットツリー”とする方針を立て、二層吹抜のリビングを“猫の身体寸法”に合わせた階段で取囲む構成を考案。猫と人の其々の言葉が混ざり合う建築を作る外観、アプローチ photo©Lamberto Rubino
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山之内淡 / AWGLによる、神奈川・鎌倉市の「A Cat Tree House」。“愛猫”を施主に見立て設計した自邸兼アトリエ。全体を“キャットツリー”とする方針を立て、二層吹抜のリビングを“猫の身体寸法”に合わせた階段で取囲む構成を考案。猫と人の其々の言葉が混ざり合う建築を作るアプローチ photo©Lamberto Rubino
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山之内淡 / AWGLによる、神奈川・鎌倉市の「A Cat Tree House」。“愛猫”を施主に見立て設計した自邸兼アトリエ。全体を“キャットツリー”とする方針を立て、二層吹抜のリビングを“猫の身体寸法”に合わせた階段で取囲む構成を考案。猫と人の其々の言葉が混ざり合う建築を作るアプローチ photo©Lamberto Rubino
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山之内淡 / AWGLによる、神奈川・鎌倉市の「A Cat Tree House」。“愛猫”を施主に見立て設計した自邸兼アトリエ。全体を“キャットツリー”とする方針を立て、二層吹抜のリビングを“猫の身体寸法”に合わせた階段で取囲む構成を考案。猫と人の其々の言葉が混ざり合う建築を作る猫の庭・テラスゾーンに繋がる扉。 photo©Lamberto Rubino
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山之内淡 / AWGLによる、神奈川・鎌倉市の「A Cat Tree House」。“愛猫”を施主に見立て設計した自邸兼アトリエ。全体を“キャットツリー”とする方針を立て、二層吹抜のリビングを“猫の身体寸法”に合わせた階段で取囲む構成を考案。猫と人の其々の言葉が混ざり合う建築を作る玄関ドアを見る。 photo©Lamberto Rubino
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山之内淡 / AWGLによる、神奈川・鎌倉市の「A Cat Tree House」。“愛猫”を施主に見立て設計した自邸兼アトリエ。全体を“キャットツリー”とする方針を立て、二層吹抜のリビングを“猫の身体寸法”に合わせた階段で取囲む構成を考案。猫と人の其々の言葉が混ざり合う建築を作る玄関ドア photo©Lamberto Rubino
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山之内淡 / AWGLによる、神奈川・鎌倉市の「A Cat Tree House」。“愛猫”を施主に見立て設計した自邸兼アトリエ。全体を“キャットツリー”とする方針を立て、二層吹抜のリビングを“猫の身体寸法”に合わせた階段で取囲む構成を考案。猫と人の其々の言葉が混ざり合う建築を作る1階、玄関 photo©Lamberto Rubino
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山之内淡 / AWGLによる、神奈川・鎌倉市の「A Cat Tree House」。“愛猫”を施主に見立て設計した自邸兼アトリエ。全体を“キャットツリー”とする方針を立て、二層吹抜のリビングを“猫の身体寸法”に合わせた階段で取囲む構成を考案。猫と人の其々の言葉が混ざり合う建築を作る1階、リビング photo©Lamberto Rubino
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山之内淡 / AWGLによる、神奈川・鎌倉市の「A Cat Tree House」。“愛猫”を施主に見立て設計した自邸兼アトリエ。全体を“キャットツリー”とする方針を立て、二層吹抜のリビングを“猫の身体寸法”に合わせた階段で取囲む構成を考案。猫と人の其々の言葉が混ざり合う建築を作る1階、リビング photo©Lamberto Rubino
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山之内淡 / AWGLによる、神奈川・鎌倉市の「A Cat Tree House」。“愛猫”を施主に見立て設計した自邸兼アトリエ。全体を“キャットツリー”とする方針を立て、二層吹抜のリビングを“猫の身体寸法”に合わせた階段で取囲む構成を考案。猫と人の其々の言葉が混ざり合う建築を作る1階、リビングから玄関を見る。 photo©Lamberto Rubino
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山之内淡 / AWGLによる、神奈川・鎌倉市の「A Cat Tree House」。“愛猫”を施主に見立て設計した自邸兼アトリエ。全体を“キャットツリー”とする方針を立て、二層吹抜のリビングを“猫の身体寸法”に合わせた階段で取囲む構成を考案。猫と人の其々の言葉が混ざり合う建築を作る1階、階段裏を見る。 photo©Lamberto Rubino
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山之内淡 / AWGLによる、神奈川・鎌倉市の「A Cat Tree House」。“愛猫”を施主に見立て設計した自邸兼アトリエ。全体を“キャットツリー”とする方針を立て、二層吹抜のリビングを“猫の身体寸法”に合わせた階段で取囲む構成を考案。猫と人の其々の言葉が混ざり合う建築を作る1階、左:キッチン、右:玄関 photo©Lamberto Rubino
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山之内淡 / AWGLによる、神奈川・鎌倉市の「A Cat Tree House」。“愛猫”を施主に見立て設計した自邸兼アトリエ。全体を“キャットツリー”とする方針を立て、二層吹抜のリビングを“猫の身体寸法”に合わせた階段で取囲む構成を考案。猫と人の其々の言葉が混ざり合う建築を作る1階、左:ダイニング、右:キッチン photo©Lamberto Rubino
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山之内淡 / AWGLによる、神奈川・鎌倉市の「A Cat Tree House」。“愛猫”を施主に見立て設計した自邸兼アトリエ。全体を“キャットツリー”とする方針を立て、二層吹抜のリビングを“猫の身体寸法”に合わせた階段で取囲む構成を考案。猫と人の其々の言葉が混ざり合う建築を作る1階、キッチンからダイニングを見る。 photo©Lamberto Rubino
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山之内淡 / AWGLによる、神奈川・鎌倉市の「A Cat Tree House」。“愛猫”を施主に見立て設計した自邸兼アトリエ。全体を“キャットツリー”とする方針を立て、二層吹抜のリビングを“猫の身体寸法”に合わせた階段で取囲む構成を考案。猫と人の其々の言葉が混ざり合う建築を作る1階、左:キッチン、右:外の猫の庭・テラスゾーンへの扉 photo©Lamberto Rubino
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山之内淡 / AWGLによる、神奈川・鎌倉市の「A Cat Tree House」。“愛猫”を施主に見立て設計した自邸兼アトリエ。全体を“キャットツリー”とする方針を立て、二層吹抜のリビングを“猫の身体寸法”に合わせた階段で取囲む構成を考案。猫と人の其々の言葉が混ざり合う建築を作る1階、ダイニングからリビングを見る。 photo©Lamberto Rubino
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山之内淡 / AWGLによる、神奈川・鎌倉市の「A Cat Tree House」。“愛猫”を施主に見立て設計した自邸兼アトリエ。全体を“キャットツリー”とする方針を立て、二層吹抜のリビングを“猫の身体寸法”に合わせた階段で取囲む構成を考案。猫と人の其々の言葉が混ざり合う建築を作る1階から2階への階段 photo©Lamberto Rubino
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山之内淡 / AWGLによる、神奈川・鎌倉市の「A Cat Tree House」。“愛猫”を施主に見立て設計した自邸兼アトリエ。全体を“キャットツリー”とする方針を立て、二層吹抜のリビングを“猫の身体寸法”に合わせた階段で取囲む構成を考案。猫と人の其々の言葉が混ざり合う建築を作る1階から2階への階段 photo©Lamberto Rubino
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山之内淡 / AWGLによる、神奈川・鎌倉市の「A Cat Tree House」。“愛猫”を施主に見立て設計した自邸兼アトリエ。全体を“キャットツリー”とする方針を立て、二層吹抜のリビングを“猫の身体寸法”に合わせた階段で取囲む構成を考案。猫と人の其々の言葉が混ざり合う建築を作る1階から2階への階段、正面にあるのは書庫。 photo©Lamberto Rubino
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山之内淡 / AWGLによる、神奈川・鎌倉市の「A Cat Tree House」。“愛猫”を施主に見立て設計した自邸兼アトリエ。全体を“キャットツリー”とする方針を立て、二層吹抜のリビングを“猫の身体寸法”に合わせた階段で取囲む構成を考案。猫と人の其々の言葉が混ざり合う建築を作る1階から2階への階段、正面にあるのは書庫。 photo©Lamberto Rubino
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山之内淡 / AWGLによる、神奈川・鎌倉市の「A Cat Tree House」。“愛猫”を施主に見立て設計した自邸兼アトリエ。全体を“キャットツリー”とする方針を立て、二層吹抜のリビングを“猫の身体寸法”に合わせた階段で取囲む構成を考案。猫と人の其々の言葉が混ざり合う建築を作る2階からダイニングを見る。 photo©Lamberto Rubino
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山之内淡 / AWGLによる、神奈川・鎌倉市の「A Cat Tree House」。“愛猫”を施主に見立て設計した自邸兼アトリエ。全体を“キャットツリー”とする方針を立て、二層吹抜のリビングを“猫の身体寸法”に合わせた階段で取囲む構成を考案。猫と人の其々の言葉が混ざり合う建築を作る2階、寝室を見る。 photo©Lamberto Rubino
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山之内淡 / AWGLによる、神奈川・鎌倉市の「A Cat Tree House」。“愛猫”を施主に見立て設計した自邸兼アトリエ。全体を“キャットツリー”とする方針を立て、二層吹抜のリビングを“猫の身体寸法”に合わせた階段で取囲む構成を考案。猫と人の其々の言葉が混ざり合う建築を作る2階、寝室 photo©Lamberto Rubino
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山之内淡 / AWGLによる、神奈川・鎌倉市の「A Cat Tree House」。“愛猫”を施主に見立て設計した自邸兼アトリエ。全体を“キャットツリー”とする方針を立て、二層吹抜のリビングを“猫の身体寸法”に合わせた階段で取囲む構成を考案。猫と人の其々の言葉が混ざり合う建築を作る1階、洗面所 photo©Lamberto Rubino
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山之内淡 / AWGLによる、神奈川・鎌倉市の「A Cat Tree House」。“愛猫”を施主に見立て設計した自邸兼アトリエ。全体を“キャットツリー”とする方針を立て、二層吹抜のリビングを“猫の身体寸法”に合わせた階段で取囲む構成を考案。猫と人の其々の言葉が混ざり合う建築を作る1階、洗面所 photo©Lamberto Rubino
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山之内淡 / AWGLによる、神奈川・鎌倉市の「A Cat Tree House」。“愛猫”を施主に見立て設計した自邸兼アトリエ。全体を“キャットツリー”とする方針を立て、二層吹抜のリビングを“猫の身体寸法”に合わせた階段で取囲む構成を考案。猫と人の其々の言葉が混ざり合う建築を作る1階、浴室 photo©Lamberto Rubino
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山之内淡 / AWGLによる、神奈川・鎌倉市の「A Cat Tree House」。“愛猫”を施主に見立て設計した自邸兼アトリエ。全体を“キャットツリー”とする方針を立て、二層吹抜のリビングを“猫の身体寸法”に合わせた階段で取囲む構成を考案。猫と人の其々の言葉が混ざり合う建築を作る猫の庭・テラスゾーンへのウッドデッキ階段。 photo©Lamberto Rubino
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山之内淡 / AWGLによる、神奈川・鎌倉市の「A Cat Tree House」。“愛猫”を施主に見立て設計した自邸兼アトリエ。全体を“キャットツリー”とする方針を立て、二層吹抜のリビングを“猫の身体寸法”に合わせた階段で取囲む構成を考案。猫と人の其々の言葉が混ざり合う建築を作る猫の庭・テラスゾーン photo©Lamberto Rubino
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山之内淡 / AWGLによる、神奈川・鎌倉市の「A Cat Tree House」。“愛猫”を施主に見立て設計した自邸兼アトリエ。全体を“キャットツリー”とする方針を立て、二層吹抜のリビングを“猫の身体寸法”に合わせた階段で取囲む構成を考案。猫と人の其々の言葉が混ざり合う建築を作る1階、アトリエ photo©Lamberto Rubino
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山之内淡 / AWGLによる、神奈川・鎌倉市の「A Cat Tree House」。“愛猫”を施主に見立て設計した自邸兼アトリエ。全体を“キャットツリー”とする方針を立て、二層吹抜のリビングを“猫の身体寸法”に合わせた階段で取囲む構成を考案。猫と人の其々の言葉が混ざり合う建築を作る平面図、立面図 image©AWGL
以下、建築家によるテキストです。
東京都心から約1時間。歴史が深く緑豊かな鎌倉の敷地に立つ設計者の自邸兼アトリエの計画。
暮らすのは30代の夫婦と2匹の猫である。猫にとって、家は世界だと思う。愛猫から家のあり方を学びたいと考え、“2匹の愛猫”を“2人の施主”に見立てた。
猫たちからの要望の1つ目はその日その時間で“好みの温度の層”を選べること。2つ目は“付かず離れずの距離感”で家族と同じ空間に居られること。3つ目は“安全な居場所”を複数持ち四季に合わせて移動することだった。
私たちはまず家全体を1つの大きなキャットツリーとして設計する方針を定めた。
天窓のある吹抜空間を中心に螺旋状に階段が取り囲む計画とし、階段の踏面・蹴上寸法を猫の身体寸法に合わせて設計した。家全体が細かな(23のレベルの)“温度の層”のストライプに分けられ、どこに居ても違和感なく視線が通るよう工夫した。
階段の南側と西側には壁一面に本棚を配置した。私たち人間にとっては階段状の書庫となり猫たちにとっては十分な大きさのベッドとなる。階段の構造は日本伝統の南京玉すだれからヒントを得たキャンチレバー構造で設計し、構造をそのまま現し仕上げとして空間にアクセントを加えている。
また鎌倉特有の、非常に高湿度な環境に応答する設計としても極端なスキップフロアとして家全体を構成することは合理的である。GLから1mのレベルを基準床レベルに設定し、ベタ基礎と基準床の間を緩衝空間として外気を導入し、床暖房の温水パイプを敷設して、緩衝空間内で温湿度調整を行う計画とした。
螺旋状の階段のそれぞれのコーナー部には、寝室・客室・アトリエ・キッチン・ダイニング・洗面所を計画し、私たちの施主が四季の移ろいに応じて気まぐれに居場所を選択できるよう意図した。本建築は、住まいであると同時にアトリエでもあるため必然的に来客が多く、不意の来客時に猫たちが身を隠せる小部屋としても各室は機能する。
外観は、山々の風景に馴染み、施工性が良く、かつ原則切妻屋根以外は認められない規制区域であることを考慮し、2つのL型ボリュームを異なる角度の片流れ屋根の形状で立ち上げて絡み合わせた。大谷石による擁壁が数多く見られる鎌倉の日常風景から着想を得て、地面がそのまま隆起して建物が現れるような映像的イメージを描き、風景の延長線上にあるような建築を目指して設計した。
植栽は自生する植物と相性の良い銀葉種を主品種とし、約80品種の植物を織り交ぜることで敷地と一体的に感じられる工夫を行うなど、外形に加えて、植栽計画によって風景に馴染ませながら、同時にどこか寓話的・幻想的な印象を与えることを意図した。猫にとって、家は世界だと思う。猫たちの言葉と私たち人間の言葉、異なる言葉が混ざり合う建築を目指した。
(山之内淡)
■建築概要
所在地:鎌倉市
用途:専用住宅
設計:Tan Yamanouchi & AWGL 山之内淡
構造設計:山脇克彦建築構造設計 山脇克彦、平田夢菜
植栽計画:SOLSO 重名秀則
施工:東京建築PLUS 中里聡、小倉雄太
仕上協力:小嶋工務店 小嶋真、松井力(赤川塗装店)
木デッキ・塀:色葉造園 久永昌志、久永睦美
構造・構法:木造(在来工法)、べた基礎
規模:地上二階建て
最大高さ:7,110mm
敷地面積:182.0㎡
建築面積:63.94㎡
延べ面積:94.19㎡(1階:60.34㎡、2階:33.85㎡)
設計期間:2021年1月~2022年7月
工事期間:2022年8月~2023年7月
竣工写真:Lamberto Rubino